ニュース 2018.10.30. 17:03

投手育成の名伯楽、高知商谷脇一夫元監督の「投手を大切に育てる野球」


公立高校ですから、スカウトはしませんでした。来てくれた子で戦いました。
私の教え子でプロに行ったのは、

森 浩二(阪急・オリックス、ヤクルト)
中西清起(阪神)
津野 浩(日本ハム、広島、中日、ロッテ)
中山裕章(大洋、中日)
岡林洋一(ヤクルト)
岡 幸俊(ヤクルト)

の6人です。みんな投手で、全員、一軍で活躍してくれました。
彼らは運動能力が高くて、中学から投手をしていました。そういう子を故障させずに上に上げるのが私の役割でした。
私の在任中の最後の方で、もう一人吉本晃司という投手がいました。運動能力が高くて、足も速くて素晴らしい投手でしたが、故障しました。あとで医師に聞くと、少年野球のときの投げ過ぎで、肩の関節がおかしくなっていたんですね。吉本は川崎製鉄水島に進みましたが、結局、故障で野球を断念しました。
高知は野球どころです。少年野球が盛んで毎週ゲームやっていました。いい投手は毎週投げていましたから、高校上がった段階で故障している子が多かったんですね。

ひじを上げて、体を使って投げるのが基本

私は野球選手を見るとき、足と肩を見ます。足が速くてスローイングがいい子がいい野球選手です。
投げ方の基本は野手も投手も同じです。しっかり肘が上がって、関節をよくまわすこと。右投手なら右足をプレートにおいて、そこから体をひねって投げます。それは野手も同じです。
「違うのはモーションが大きいか小さいかだけや」とよく言いました。
そういう体の使い方をしないと、故障につながります。
肘が下がって担ぐような投げ方になっている子は制球も悪くなるし、怪我も多いんです。
松坂大輔投手は、若いころは素晴らしいフォームで投げていましたが、年とともに肘が下がっているのが気になりますね。

私はその後、高知市の姉妹都市である北見市の北見柏陽高校で野球部の監督、コーチを務めてまた高知に戻りました。
昭和の時代とは環境が大きく変わっていますが、今も「投手の基本」は変わらないと思います。高校野球の指導者は、投手を大事に育ててほしいですね。(文・写真:広尾晃)

「広尾晃」関連記事

ポスト シェア 送る
連載・コラム
カラダづくり
練習
お役立ち
チーム紹介
TOPICS