監督がキャプテンになる。普通ならなかなか出来ないことだ。でも、その覚悟を悟ったナインがついて行こうと心をひとつにできたのは、やはり指揮官の熱い心意気だった。今夏は甲子園に行く。その思いを常にナインにぶつけてきたことで、彼らも「今の自分たちのままでは甲子園に行けない」という危機感が宿ったのだろう。
ただ、指揮官はこんな本音も明かす。
「毎年でも甲子園に行きたいですし、勝ちたいです。負けることほど悔しいものはない。でも、高校野球で勝つことより、彼らにはその先の人生もある。この高校野球を通して自立してもらうのが一番の目的だから、自立して、その次が甲子園やと思っています。入学して最初に保護者の方にもそう言います。そしてお母さん方にも“一緒に自立しましょう”と。今は何でも学校任せになっている中、親御さんも共に自立してもらいたいですね」。
甲子園で100勝を挙げてきた歴史の中には、原田監督の強い信念がある。そしてこれからも歴史はさらに刻まれていく。(取材・写真:沢井史)