厳格な球数制限を実施
少年野球といえば、健康被害の問題がある。
「うちのチームも十分配慮はしていますが、それでも肘が痛い子は2、3人はいます。球数はしっかり見ています。投球だけでなく、ノックでも送球するのを1球とカウントし、投げすぎている子は捕球だけにすることもあります。こうした方針は、手伝ってくれている5人のコーチも理解してくれています。態度が悪いときなどは注意しますが、エラーしたから叱りつけるようなことはありません」
むしろ、見学する父母のほうが過熱することがあるという。
「秋の新人戦のときに、応援に来ていただいているお父さん、お母さんが、子どものプレーを見て『なんでそうなの! カバーしなさいよ!』『ちゃんと投げて!』などの声があがりました。子供に良いプレーをしてほしい、頑張ってほしいという思いで声をあげられたんだと思いますが、私はすぐにミーティングをして『ミスは発生します。でもそこですぐに答えを出すのではなくて、見守ってほしい。絶対にミスは出るので』と説明して納得してもらいました。プレーに対して、大人が厳しく声をかけても、強い心は育たないと思うんですよね。選手がどう感じて、どう考えて行動できるかだと思いますので。そういう問題はこれからもあるでしょうね」
子どもたちを守りながら勝ちを目指す
レッドスネークコルツの実力はどうなのだろうか?「旭区の学童の連盟は15、6チームが加盟しています。野球は熱心な地域です。うち以外のチームは、ガンガン声を荒げるチームです。うちだけが異質ですね。球数制限をしたり、子どものケアに気を付けているので、勝ち進むのは難しいですね。でも、“勝たなくていいよ”とはいいません。勝つためにやらないと学びがないですから。少しずつ“こうやってやれば勝てるのかな”と手ごたえを感じている部分もあります。
地区の大会は、ほとんどがトーナメント戦です。連盟には残念ながら球数制限はありません。他のチームでは投手の酷使が当たり前ですが、うちは投手の枚数を多く作っています。いい投手でも球数が来たら投げさせません。またうちの場合、キャッチャーから投手へのリリーフも基本的には禁止しています。先日、秋のYBという大きな大会ではそれでも2勝しましたが、3戦目には負けてしまいました」
練習は土日祝日。グラウンドには送り迎えをする父母の姿もある。
「でもお茶当番はやっていません。試合の時には見に来てあげてくださいね、と声をかけています。熱心なお母さんもいらっしゃいますが、その方に負担が集中しないように気を付けています。コミュニケーションが大切ですね」
来年から軟式球の仕様が変わる。このことへの懸念も持っている。
「新しいボールはよく飛びます。ボールが少し硬くなっているからだと思います。また重くもなっています。子ども的には良くないのかなと思います。重くなると肩やひじに負担がかかりますし、故障者が増えるのではないでしょうか。球数をより厳密にカウントしなければならないし、ストレッチなどもしっかりすべきだと思います」
目標は子供たちを“野球好き”にすること
河原さんは自分の子供が卒業しても指導者を続けるという。
「僕が4年前にチームに戻った時、選手数は9人ギリギリでした。子どもを集めるにはどうしたらいいかな、と考えて“エンジョイベースボール”を掲げました。ありがたいことに、ここ数年の卒業生はみんなリトルシニアや中学の部活で野球を続けています。僕の大きな目標は子供たちを“野球好き”にすることです。これからもこの方針で頑張っていきます」(取材・写真:広尾晃)