ニュース 2019.03.20. 15:37

【今、野球と子供は。】高校野球の発展


高度経済成長期は「野球の時代」


高校の数が急速に増えて、高校野球の試合数も増加したこともあって、全国各地で観客席のある本格的な野球場が建設されるようになった。

昭和20年代は、子供たちは私服で、素手や布製のグルーブで野球遊びをしたが、昭和30年代後半になると、革製のグローブやユニフォームを身に着けるようになった。

男の子たちは学校から帰るとランドセルを放り出して「野球遊び」に夢中になった。そして夕食時には、父親と一緒にテレビのナイター中継に見入った。また春と夏の甲子園大会もテレビやラジオで中継され、多くの人々が視聴するようになった。

早稲田実業の王貞治、徳島商業の板東英二、浪商の尾崎行雄、三沢高の太田幸司、作新学院の江川卓。甲子園は毎年のように全国的な人気を博するヒーローを生んだ。その人気が、高校野球の競技人口増加に拍車をかけた。戦後、高等学校では「部活」が課外活動として必修化されたが、野球部は最も人気がある部活の一つになった。

 

当時はまだ公立高校のほうが強い地域が多かった。甲子園に母校が出場すると、卒業生や地域の人々が甲子園に詰めかけ、地方色豊かな応援をするようになった。にぎやかな応援合戦も、戦後になってからの風景だ。

オリンピックがある年には、一時的にバレーボールが人気になることはあったが、サッカーはまだマイナースポーツであり、男子のスポーツで野球のライバルとなるスポーツは日本にはなかった。

 

戦後、高校野球はプロ野球と肩を並べるような人気スポーツへと成長した。多くの高校生が野球をするようになった。高度経済成長期は「野球の時代」でもあったのだ。(広尾晃)

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