2020年に設立された中学野球チーム「東京インディペンデンツ」。大会優勝や強豪高校への進学を目標とせず、目指すのは選手個々の成長。練習は量よりも質を追求し、科学的エビデンスに基づいた指導を行う。前回のGM、監督インタビューに続き、今回は練習の一部を紹介したい。
この日の練習が行われていたのは4月上旬の東京・多摩川の河川敷グラウンド。
練習はじめのウォームアップ指導を行っていたのは、陸上800mオリンピック候補だった新川翔太コーチ。走り方のフォームはもちろん、股関節を中心にした体の動き、動かし方などを丁寧に教えていました(新川コーチはフィジカルトレーニングも担当しており、練習の合間には体幹トレーニングも指導していました)。
キャッチボール、塁間ボール回しに続いて行われたのは内外野のノック。この日はフライに対する声掛けをテーマに行われていましたが、落球、お見合いなどのミスも見られました。こういった場合、ほとんどのチームであれば指導者から怒気を含んだ大声での叱責などが飛び、グラウンドに緊張感が走ると思います。しかし、このチームで飛んでいたのは「今のは捕れたんじゃないかー!?」「おーーい!」など、語尾に「(笑)」のニュアンスを含んだ監督とお父さんコーチ達からの声でした。
「今日より明日、ちょっとずつ上手くなってくれればいいなと思っていますから、失敗して怒鳴るとか、そういうことにはならないですよ」と加藤幹典監督。
珍しかったのは休憩を挟んでノックが再開されると全員のポジションがシャッフルされていたこと。この狙いについて監督に聞くと「選手達に全ポジションを経験させて目線を広げさせることと、色んなポジションを守れることで高校に上がったときにチャンスを広がるからですね」と意図を教えてくれました。
その後に行われたのはポジション別の守備練習。
キャッチャーの指導を行っていたのは、横浜高校時代にNPB通算96勝の成瀬善久投手(現BCリーグ・栃木ゴールデンブレーブス/選手兼投手コーチ)とバッテリーを組み、センバツ大会準優勝の経験もある太田智英ヘッドコーチ。
この日行われていたのは捕球と送球の練習。太田コーチがマウンドの少し前方からキャッチャーに向かってふわりと山なりのボールを投げ、これを迎えに行かずにしっかり待ってキャッチし、セカンドスローするというもの。緩いボールは待ちきれずにキャッチングを迎えに行ってしまいがちですが、そうすると頭が前に突っ込んで上体が前掛かりになり、そこから上体を立て直す分だけ時間をロスしてしまいます。
なんだか難しく聞こえますが、太田コーチはこんな風に分かりやすくキャッチャー陣に説明していました。
「ユニフォームの胸のマークをしっかりとピッチャーに見せた状態のままキャッチする。胸のマークが地面に向かないように意識してキャッチしてごらん」
知識や経験が豊富なだけでなく、それを子ども達に分かりやすく説明できる太田コーチの翻訳力の高さに感心しました。
■ちょっとずつ上手くなってくれればいい
この日の練習が行われていたのは4月上旬の東京・多摩川の河川敷グラウンド。
練習はじめのウォームアップ指導を行っていたのは、陸上800mオリンピック候補だった新川翔太コーチ。走り方のフォームはもちろん、股関節を中心にした体の動き、動かし方などを丁寧に教えていました(新川コーチはフィジカルトレーニングも担当しており、練習の合間には体幹トレーニングも指導していました)。
キャッチボール、塁間ボール回しに続いて行われたのは内外野のノック。この日はフライに対する声掛けをテーマに行われていましたが、落球、お見合いなどのミスも見られました。こういった場合、ほとんどのチームであれば指導者から怒気を含んだ大声での叱責などが飛び、グラウンドに緊張感が走ると思います。しかし、このチームで飛んでいたのは「今のは捕れたんじゃないかー!?」「おーーい!」など、語尾に「(笑)」のニュアンスを含んだ監督とお父さんコーチ達からの声でした。
「今日より明日、ちょっとずつ上手くなってくれればいいなと思っていますから、失敗して怒鳴るとか、そういうことにはならないですよ」と加藤幹典監督。
珍しかったのは休憩を挟んでノックが再開されると全員のポジションがシャッフルされていたこと。この狙いについて監督に聞くと「選手達に全ポジションを経験させて目線を広げさせることと、色んなポジションを守れることで高校に上がったときにチャンスを広がるからですね」と意図を教えてくれました。
■名門校仕込みのキャッチャー練習
その後に行われたのはポジション別の守備練習。
キャッチャーの指導を行っていたのは、横浜高校時代にNPB通算96勝の成瀬善久投手(現BCリーグ・栃木ゴールデンブレーブス/選手兼投手コーチ)とバッテリーを組み、センバツ大会準優勝の経験もある太田智英ヘッドコーチ。
この日行われていたのは捕球と送球の練習。太田コーチがマウンドの少し前方からキャッチャーに向かってふわりと山なりのボールを投げ、これを迎えに行かずにしっかり待ってキャッチし、セカンドスローするというもの。緩いボールは待ちきれずにキャッチングを迎えに行ってしまいがちですが、そうすると頭が前に突っ込んで上体が前掛かりになり、そこから上体を立て直す分だけ時間をロスしてしまいます。
なんだか難しく聞こえますが、太田コーチはこんな風に分かりやすくキャッチャー陣に説明していました。
「ユニフォームの胸のマークをしっかりとピッチャーに見せた状態のままキャッチする。胸のマークが地面に向かないように意識してキャッチしてごらん」
知識や経験が豊富なだけでなく、それを子ども達に分かりやすく説明できる太田コーチの翻訳力の高さに感心しました。