10万人を検査して明らかになった「ケガをする人に共通する特徴」をベースに、ケガのリスク診断を行うテスト、それが『フィジカルチェック』です。テスト後にはフィードバックシートで体の部位別のケガのリスクが数値で明らかにされるだけでなく、ケガを防ぐための改善エクササイズまで教えてくれます。前編に続いて、『フィジカルチェック』を開発したケガゼロプロジェクト代表理事の荒川優さんと理学療法士の亀山顕太郎さんにお話を伺いました。
——フィジカルチェックの診断結果の中には左右差について指摘されている箇所もありますが、左右差が大きいと「安定性」に影響が出てケガのリスクが高まるということでしょうか?
亀山 左右差の考え方、捉え方は少し難しいのですが、例えば右が硬くて左も硬いと左右差はないですよね? 野球の場合は非投球側(の数値)が痛めていない、健常なお手本になりますので、(右利きであれば)左手でできていることが右手でできていないというような場合は左右差があるということになり、非投球側の値の動きまで持ってこないといけないということになります。
荒川 左右差の部分でいうと、柔軟性が低くてそこにちょっと左右差があったとしても、柔軟性が低いことの方を優先的に問題視されるべきなんです。左右の値がどちらも高いことがベストであるとして、どちらかが高くてどちらかが低い、両方とも低い、両方とも低い中でも左右差が大きいなど、色々とあるのですが、これまでの統計の数値などを見ても、ケガをしない人というのは柔軟性にしても何にしても左右両方ともに高いところで揃っている人が圧倒的に多いというのはデータでも見えてきています。
野球はどうしても利き腕側を中心に使いますから、どちらかの数値が高くてどちらかが低いという選手も多いのですが、そういう選手はケガのリスクが高かったりするというのもありますね。
——21のチェック項目の中で、肩・肘のケガリスクとの因果関係のある項目などはありますか?
荒川 どこかを痛めた時、ケガをしたときは受傷部位あるいはその周辺から診ていくと思うのですが、意外とその原因が遠くにあったりすることがあります。私の場合で言うと、ハムストリングの肉離れの原因が実は背中にありました。野球で言うと、下半身が上手く使えていない子ほど、肩・肘のケガのリスクが高まっているという、肩・肘と下半身の関係がデータとして結構出ています。
亀山 統計的に見ていくと下半身が安定していない、上手く使えていない人というのは割とケガをしやすいというのがあります。
高校野球の甲子園に出るような強豪校のレギュラーメンバーと補欠と、一般的な高校のレギュラーと補欠を調べたことがあります。色んなデータを取って、何が違うのだろうと見たときに、違うのは下半身のジャンプ力でした。下半身の使い方が上手い選手はケガもしないしパフォーマンスも高い。統計的にもそういうことが言えると思います。
——「正しい投げ方をしていれば肩、肘は壊さない」という話をされる指導者もよくいますが、これは正しい考えでしょうか?
荒川 そもそも正しい投げ方ができない理由が下半身にあるということもあると思います。正しいとされる投げ方をしようとしても下半身の柔軟性が足りていなかったり。
——ピッチャーが疲れてくると「腕を振れ!」という指導をされている指導者もよく見かけます。
亀山 腕が振れないことの原因は実は他のところにあったりしますよね。腕が振れないこととその原因と両方見ていくことが大事だと思いますね。例えばバランスが悪い子に「もっと足を使え」と言ってもバランスが悪いから足が使えないということも考えられます。両方を見ることが大事ですね。
——足が使えないであるとか下半身が弱いと言われると、筋トレで鍛えるという考えになることが多いと思いますがこの考えは正しいのでしょうか?
亀山 柔軟性などを整えた上で筋力をつけるのはいいと思います。パワーポジションなどと言ったりもしますけど、股関節がいい位置に入ればそんなに力を入れなくても体はすごく安定します。その位置を知らないで、とにかく筋トレで追い込んでスクワットなどで太腿の前をパンパンにするというのはあまり意味がないと思います。
——ここまでフィジカルチェック、ケガゼロプロジェクトのお話を聞いて興味を持たれた方も多いと思いますが、お近くにインストラクターなどがいない場合はどうしたらいいでしょうか?
亀山 改善エクササイズの一覧(https://sports-crowd.net/_physicalcheck-exercise.php)でどなたでもご覧いただけますので、チームの指導者の方々に見ていて頂きたいですね。全部を毎回子ども達にやらせるのは大変ですし効率が悪いので、うまくアップなどに落とし込んで頂くのもいいと思います。
荒川 もちろんフィジカルチェックは公認のインストラクターなどがきちんと測定するのがよいのですが、それが難しい方は亀山先生がやっている『スポ・ラボ』
(https://supolab.jimdofree.com/発症予測システムとは/)というサイトで、簡単にセルフチェックできる指標などが公開されていますので、まずはそちらで自分のケガのリスクを簡単に測ってみるのがいいと思います。
また、定期的に行っている3時間の「インストラクター養成講座(https://kegazero.jp)」を受講していただくと誰でも測定が可能になるため、指導者や保護者、かかりつけの院の方など自分たちで取得してくださることも多いです。ですので、お近くにインストラクターがいない地域等の方は、ご自身でインストラクターになるという方法もあります。
野球選手に多く見られる体の左右差
——フィジカルチェックの診断結果の中には左右差について指摘されている箇所もありますが、左右差が大きいと「安定性」に影響が出てケガのリスクが高まるということでしょうか?
亀山 左右差の考え方、捉え方は少し難しいのですが、例えば右が硬くて左も硬いと左右差はないですよね? 野球の場合は非投球側(の数値)が痛めていない、健常なお手本になりますので、(右利きであれば)左手でできていることが右手でできていないというような場合は左右差があるということになり、非投球側の値の動きまで持ってこないといけないということになります。
荒川 左右差の部分でいうと、柔軟性が低くてそこにちょっと左右差があったとしても、柔軟性が低いことの方を優先的に問題視されるべきなんです。左右の値がどちらも高いことがベストであるとして、どちらかが高くてどちらかが低い、両方とも低い、両方とも低い中でも左右差が大きいなど、色々とあるのですが、これまでの統計の数値などを見ても、ケガをしない人というのは柔軟性にしても何にしても左右両方ともに高いところで揃っている人が圧倒的に多いというのはデータでも見えてきています。
野球はどうしても利き腕側を中心に使いますから、どちらかの数値が高くてどちらかが低いという選手も多いのですが、そういう選手はケガのリスクが高かったりするというのもありますね。
下半身の使い方が上手い選手はケガをしない!?
——21のチェック項目の中で、肩・肘のケガリスクとの因果関係のある項目などはありますか?
荒川 どこかを痛めた時、ケガをしたときは受傷部位あるいはその周辺から診ていくと思うのですが、意外とその原因が遠くにあったりすることがあります。私の場合で言うと、ハムストリングの肉離れの原因が実は背中にありました。野球で言うと、下半身が上手く使えていない子ほど、肩・肘のケガのリスクが高まっているという、肩・肘と下半身の関係がデータとして結構出ています。
亀山 統計的に見ていくと下半身が安定していない、上手く使えていない人というのは割とケガをしやすいというのがあります。
高校野球の甲子園に出るような強豪校のレギュラーメンバーと補欠と、一般的な高校のレギュラーと補欠を調べたことがあります。色んなデータを取って、何が違うのだろうと見たときに、違うのは下半身のジャンプ力でした。下半身の使い方が上手い選手はケガもしないしパフォーマンスも高い。統計的にもそういうことが言えると思います。
「腕を振れ!」という指導をする前に……
——「正しい投げ方をしていれば肩、肘は壊さない」という話をされる指導者もよくいますが、これは正しい考えでしょうか?
荒川 そもそも正しい投げ方ができない理由が下半身にあるということもあると思います。正しいとされる投げ方をしようとしても下半身の柔軟性が足りていなかったり。
——ピッチャーが疲れてくると「腕を振れ!」という指導をされている指導者もよく見かけます。
亀山 腕が振れないことの原因は実は他のところにあったりしますよね。腕が振れないこととその原因と両方見ていくことが大事だと思いますね。例えばバランスが悪い子に「もっと足を使え」と言ってもバランスが悪いから足が使えないということも考えられます。両方を見ることが大事ですね。
——足が使えないであるとか下半身が弱いと言われると、筋トレで鍛えるという考えになることが多いと思いますがこの考えは正しいのでしょうか?
亀山 柔軟性などを整えた上で筋力をつけるのはいいと思います。パワーポジションなどと言ったりもしますけど、股関節がいい位置に入ればそんなに力を入れなくても体はすごく安定します。その位置を知らないで、とにかく筋トレで追い込んでスクワットなどで太腿の前をパンパンにするというのはあまり意味がないと思います。
まずは自分の体に興味を持つことが大事
——ここまでフィジカルチェック、ケガゼロプロジェクトのお話を聞いて興味を持たれた方も多いと思いますが、お近くにインストラクターなどがいない場合はどうしたらいいでしょうか?
亀山 改善エクササイズの一覧(https://sports-crowd.net/_physicalcheck-exercise.php)でどなたでもご覧いただけますので、チームの指導者の方々に見ていて頂きたいですね。全部を毎回子ども達にやらせるのは大変ですし効率が悪いので、うまくアップなどに落とし込んで頂くのもいいと思います。
荒川 もちろんフィジカルチェックは公認のインストラクターなどがきちんと測定するのがよいのですが、それが難しい方は亀山先生がやっている『スポ・ラボ』
(https://supolab.jimdofree.com/発症予測システムとは/)というサイトで、簡単にセルフチェックできる指標などが公開されていますので、まずはそちらで自分のケガのリスクを簡単に測ってみるのがいいと思います。
また、定期的に行っている3時間の「インストラクター養成講座(https://kegazero.jp)」を受講していただくと誰でも測定が可能になるため、指導者や保護者、かかりつけの院の方など自分たちで取得してくださることも多いです。ですので、お近くにインストラクターがいない地域等の方は、ご自身でインストラクターになるという方法もあります。