【親の負担が大きくても子どもが集まる】
「やっぱり入口の『ティーボール』のところだと思います。楽しくやっていますし、SNSにも力を入れているのでそういったことを積極的に発信もしています。どういう雰囲気でやっているのか分かった上で体験に来てくれて、実際に体験してみたら本当に楽しかったということではないでしょうか。うちは同じグラウンドで全カテゴリーが練習をやっていますから、上のカテゴリーのこともよく分かりますし、3、4年生たちがキビキビやっているのも分かります。そういうところを実際に見て頂けているのでたくさん入って頂いているのかなと思います」
こう話してくれたのは「メジャー」の中村知也監督。
体験に来た子ども達が楽しいと思えばこのチームで野球をやりたいと思う。3カテゴリーが同じ敷地で練習をしているので、親から見たらどういうプロセスで上のカテゴリーに上がっていくのかが分かりやすく安心できる。そういうことが多くの部員が集まっている要因なのかもしれません。
親の負担についても中村監督はこう話します。
「入団の際には送迎が必須で1年間は事務局担当がある旨は説明していますので、不満の声が挙がることはありません。むしろ父兄の連帯、一体感はかなりある方だと思います。今の時代の流れもあると思いますが『親の負担を少なくする』というのはちょっと違っている気がしています。事務局の仕事は練習時間の連絡であったり、練習で怪我をした子がいたら親御さんに連絡をする、練習試合がある場合は配車のお願い、手配をしたりという仕事。しかも1年を通してグラウンドにこないといけません。最初は負担に思われたり、ちょっと戸惑ったりしますけど、毎回練習を見ていると自分の子だけではなくてチームの子、全員を見るようになります。そうしたら自分の子だけでなくチームの子ども達に愛着が湧くようになるんですよね。そういう良い効果もあって、初めは嫌がるのですが最後は「やって良かった」と言われる方が多いです。事務局を辞めるときにちょっと寂しがって『もうちょっとやりたかった』と言ってくださる方も多くいます。『小野路ロス』なんて言われているそうですが(笑)」
「最近の親は自分の子どものことだけを見ている」という声は多くの現場で指導者からも聞かれます。ですが町田リトルではその逆。この日も3カテゴリーの多くの親が練習を見に来ていましたが、このチームでは多くの保護者がチーム全体の子どもを見ている、チームとチームの子ども達に愛着を持っている。そんな古き良き文化が残っているチームと言えるかもしれません。(取材・写真/永松欣也)
*後編では3カテゴリーそれぞれの監督さんにお話を聞いています。