本塁打の「全球団制覇」
現在、日本のプロ野球には12球団が存在する。「全球団制覇」の記録というと投手の「全球団勝利」が有名だが、これを野手に置き換えた時に挙がるのが「全球団から本塁打」という記録である。
12球団すべてから本塁打、この記録を達成したのは過去に31人。投手の17人と比べると多く感じるが、そのうち実に28人は交流戦が始まって以降の達成者。特に2007年以降は毎年達成者が誕生しているのだ。
この記録を達成するためには、少なくとも2球団以上に在籍することが絶対条件。交流戦がなかった頃はリーグを跨ぐ必要があったため、最低でも4球団以上に在籍する必要があったのだが、今ではシーズン中にリーグが異なる相手と対戦する機会がある。なので、そのハードルは低くなったといえる。
ちなみに、現在この記録にリーチをかけている選手は5人。次なる達成者は誰になるのか、今季は以下の選手たちに注目だ。
【リーチをかけている選手】
・井口資仁(ロッテ)=DeNAから打てば達成
・福留孝介(阪神)=日本ハムから打てば達成
・片岡治大(巨人)=西武から打てば達成
・西岡 剛(阪神)=ロッテから打てば達成
・今江年晶(楽天)=中日から打てば達成
交流戦導入前はわずか3人
上でも少し触れたように、交流戦の導入から飛躍的に達成者が増えたこの記録。交流戦が始まる前の達成者はたったの3人しかいないのだ。
その貴重な3人というのが、江藤慎一、富田勝、加藤英司。江藤と加藤は通算300本以上の本塁打を記録した打者であるが、富田はその3分の1ほどの通算107本で12球団を制している。
【交流戦導入前の全球団本塁打達成者】
▼ 江藤慎一/通算367本
所属:中日~ロッテ~大洋~太平洋(1975年達成)~ロッテ
▼ 富田 勝/通算107本
所属:南海~巨人~日本ハム~中日(1981年達成)
▼ 加藤英司/通算347本
所属:阪急~広島~近鉄~巨人(1986年達成)~南海
現役の達成者は8人
また、交流戦が始まってから達成した28人のうち、いまなお現役という選手は8人いる。
昨シーズン、通算300本塁打を達成した広島の新井貴浩がその一人だ。99年にプロ入りした新井は、交流戦2年目の06年に11球団本塁打を達成。07年オフに阪神へ移籍すると、その翌年の5月14日・広島戦で12球団本塁打を達成した。
1度目の移籍、それも同リーグ内の移籍で12球団制覇を達成したのは、“アニキ”こと金本知憲(現阪神監督)とアレックス・ラミレス(現DeNA監督)に次ぐ3人目のことであった。
また、最新の達成者は昨年9月のオリックス・中島宏之。9月22日の古巣・西武戦で一発を放ち、連続達成者誕生のバトンを繋いだ。
ちなみに、中島は近鉄を含む「13球団制覇」を達成。2011年のホセ・フェルナンデス以来、史上8人目の快挙である。
【現役の全球団本塁打達成者】
▼ 新井貴浩/通算306本
所属:広島~阪神(2008年達成)~広島
▼ 内川聖一/通算164本
所属:横浜~ソフトバンク(2011年達成)
▼ 村田修一/通算346本
所属:横浜~巨人(2012年達成)
▼ 糸井嘉男/通算125本
所属:日本ハム~オリックス(2013年達成)
▼ 相川亮二/通算69本塁打
所属:横浜~ヤクルト~巨人(2013年達成)
▼ 吉村裕基/通算129本
所属:横浜・DeNA~ソフトバンク(2013年達成)
▼ 大引啓次/通算37本
所属:オリックス~日本ハム~ヤクルト(2015年達成)
▼ 中島宏之/通算180本
所属:西武~オリックス(2016年達成)
10年連続達成中...
▼ 2007年
フリオ・ズレータ
グレッグ・ラロッカ
タフィ・ローズ
▼ 2008年
アレックス・ラミレス
新井貴浩
アレックス・カブレラ
谷 佳知
タイロン・ウッズ
北川博敏
▼ 2009年
和田一浩
多村仁志
石井琢朗
▼ 2010年
二岡智宏
小笠原道大
▼ 2011年
ホセ・フェルナンデス
内川聖一
▼ 2012年
中村紀洋
ターメル・スレッジ
村田修一
▼ 2013年
トニ・ブランコ
糸井嘉男
相川亮二
▼ 2014年
吉村裕基
▼ 2015年
アーロム・バルディリス
大引啓次
▼ 2016年
中島宏之