◆ 西武時代に2年連続で開幕投手を経験
西武から海外FA権を行使し、楽天移籍を選択した岸孝之。地元・宮城で再出発する右腕は、史上3人目となるFA移籍1年目での開幕投手を目指す。
西武での10年間で103勝を挙げた右腕は、入団会見で「野球を始めた仙台で、プロに入るまでたくさんの人にお世話になり、支えられた。そういう人たちに成長した姿を見せたかったし、恩返しがしたいと思った」と移籍決断の理由を口にした。
新天地では則本昂大とのダブルエースの期待がかかり、加入1年目ながら大役を任される可能性がある。楽天の開幕投手は前年まで則本が4年連続で務めてきたが、若きエースは3月に開催される第4回WBCの侍ジャパン代表に選ばれ、勝ち上がれば3月下旬までチーム合流が遅れる。
さらに、疲労や故障のリスクもあり、梨田監督も「どうなるか分からない」と慎重な姿勢。思えば則本が新人ながら初めて開幕投手を務めた2013年も、当時のエースだった田中将大(現ヤンキース)が第3回WBCのメンバーに選ばれた影響で、オープン戦で好投を続けた則本に白羽の矢が立った。
疲労を考慮された田中は開幕4戦目からシーズンインし、圧巻の24勝0敗1セーブ、防御率1.27をマーク。則本も開幕戦こそ敗戦投手になったものの、1年間ローテーションを守り続け、15勝8敗、防御率3.34の好成績。新人ながらフル回転し、チームのリーグ制覇と日本一に貢献。個人的にも新人王を受賞した。
岸が開幕戦の先発マウンドに立てば、FA移籍1年目の投手では1995年に西武からダイエー(現ソフトバンク)に移った工藤公康、2000年にオリックスから阪神に移籍した星野伸之以来、3人目の大役となる。岸は西武時代の13年から2年連続で開幕投手の経験があり、3月31日の京セラドーム大阪(オリックス戦)の先発マウンドに登れば自身3度目となる。
果たして梨田監督は大役を誰に託すのか。侍ジャパンの戦いぶりとともに、移籍元年に燃える岸の調整具合に注目したい。