ニュース 2017.02.14. 15:30

本当に即戦力?「社会人出身ドラ1選手」を振り返る

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投球練習を終え、笑顔のオリックス・山岡=宮崎(C)KYODO NEWS IMAGES

ドラフト1位の社会人、今年は1人


 2月1日にスタートした春季キャンプも中盤戦。紅白戦や練習試合といった実戦の機会も増え始め、開幕一軍生き残りを目指す選手たちにとっては競争が激化し始める時期に差し掛かっている。

 特に注目を集めるのが新人選手。なかでも大卒、社会人卒の選手には即戦力としての期待もかかっているだけに、この時期は本当に大事な“勝負の時”となる。


 今年の新人を見てみると、ドラフト1位入団の12名の内訳は高卒が4名、大卒が7名ときて、社会人は1人だけ。その中で巨人の吉川尚輝がコンディション不良の影響からキャンプ三軍スタートとなってしまったが、その他の大学生・社会人7名は全員が一軍スタートとなった。

 その唯一の社会人出身者というのが、オリックスの山岡泰輔。ブルペン投球で球団のレジェンド・山田久志氏から声をかけられるなど、右腕にかけられた期待は大きい。

 社会人No.1投手として、その評判に恥じぬ活躍ができるか...。山岡のこれからの歩みに注目が集まっている。


“大卒社会人”組は好調


 社会人出身のドラフト1位というと、球団は“即戦力”を期待して指名するのが普通。その分ハードルも高くなるが、果たして近年はどうだっただろうか。社会人出身のドラ1選手たちを振り返ってみたい。

【社会人出身・ドラ1ルーキー】
2017年:山岡泰輔(オリックス)
2016年:なし
2015年:横山雄哉(阪神)、野村亮介(中日)
2014年:加治屋蓮(ソフトバンク)、柿田裕太(DeNA)、竹下真吾(ヤクルト)
2013年:石川歩(ロッテ)、吉田一将(オリックス)、小林誠司(巨人)


 中でも活躍が光るのがロッテの石川だ。巨人との競合でロッテが引き当てた右腕は、1年目から2ケタ・10勝を挙げる活躍で新人王を獲得。以降も2年目に12勝、そして昨季は14勝と着実に勝ち星を伸ばし、WBCに挑む侍ジャパンにも選出されるまでになった。

 その石川を外した巨人が“外れ1位”として指名したのが小林である。1年目から63試合に出場すると、2年目も70試合に出場。昨季は内野手専念となった阿部慎之助に代わって129試合に出場を果たし、正捕手としての地位を築き上げた。小林も侍ジャパンの一員に選ばれている。

 ほかにも、石川や小林と同期になるオリックスの吉田一将も、この3年間で83試合に登板。昨季は54試合に登板して21ホールドを記録しており、中継ぎの一角として頭角を現しつつある。

 この3人に共通しているポイントと言えば、大学を卒業してから社会人野球を経てプロ入りした選手だということ。プロ入りまでの時間は要しているが、その分即戦力として活躍できる傾向が強い。


苦戦が見られる“高卒社会人”組


 一方、これに当てはまらない選手はどうか。高卒で社会人チームに入ってからプロ入りした、いわゆる“高卒社会人”組だ。

 2013年以降でみると、加治屋蓮(福島高-JR九州-ソフトバンク)、柿田裕太(松本工-DeNA)、横山雄哉(山形中央高-新日鉄住金鹿島)、野村亮介(静清高-MHPS横浜)が該当する。

 この4人のこれまでを振り返ってみると、一軍で勝利を挙げているのは横山だけ。その横山もプロ入りから2年間で2勝と、“即戦力”とは言い難い成績に終わっている。

 今年唯一の社会人ドラ1・山岡も、瀬戸内高から東京ガスを経てのプロ入り。苦戦が続いている“高卒社会人”組になるが、嫌な流れを断ち切るように1年目から活躍することができるだろうか。

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