鈴木尚広

 マルチスポーツブランドのアディダスが2月11日、都内で「NEW ADIDAS TRAINING」のメディア発表会を開催した。

 同イベントには、ボクシング現WBA世界フライ級王者の井岡一翔、プロテニスプレーヤーの伊達公子らトップアスリートやトレーナー総勢19名が登場。野球界からは鈴木尚広氏が登壇し、トレーニングにまつわるエピソードやこだわりなどを語った。

 昨季、鈴木氏は惜しまれつつも20年の現役生活に幕を下ろした。“代走の切り札”として読売ジャイアンツ一筋のキャリアを歩み、積み重ねた盗塁数は228。(200盗塁以上の)通算盗塁成功率は史上最高の82.91%だ。

 そんな日本球史に名を刻んだ走塁のスペシャリストが『ベースボールキング』のインタビューに応じてくれた。27.431mの世界から一転、42.195kmの世界に挑戦する理由とは?

インタビュー=ベースボールキング編集部

◆ 引退後の日々

――キャンプに参加しないというのはかなり久しぶりのことですね
鈴木:21年ぶりですね(笑)

――キャンプがないことへの違和感は?
鈴木:引退してからキャンプが始まるまでの期間は、リスタートという気持ちで過ごしていました。僕たちにとって2月1日は野球が始まるお正月というか、「いよいよ今年が始まるぞ!」という日。

1月1日より2月1日の方が1年の始まりだと感じていました。今年もそう感じると思ったけど、全く何も思わなかった(笑)。 違う形で2月1日を迎えたんだなって感じましたね。

――現役を退いてもキャンプ情報は気になります?
鈴木:所属していたチームは気になりますね。他のチームに移籍した選手もいますし。「頑張ってるかな?」とか、「怪我してないかな?」とか。そういう目線で見てますね。

――引退して数カ月、今はどのような日々を過ごしていますか?
鈴木:東京マラソンに出場するので、それに向けて体作りをしていますね。でも、体を動かすのはそれくらいですね。

◆ 27.431mの塁間からフルマラソン挑戦へ

――東京マラソンに出場しようと思ったキッカケは?
鈴木:今しかできないことって絶対あると思うんですよ。僕は塁間で3秒あるかないかの世界で勝負してきました。42.195kmというのは、走ったこともないですし、未体験ゾーンです。それに対して「トレーニングを積み重ねないとできないことだ」と感じました。

頑張る要素があると成長できると思いますし、フルマラソンを経験することで2時間台で走れる人をリスペクトできると思う。「こんだけ大変なんだ」と。やらないで感じることと、やってみて感じることは全然違うと思うので、お話をいただいたときに一度経験してみたいと思いました。

――長距離は得意ですか?
鈴木:中学校の時は走っていましたけど、長くても20kmくらいしか走ったことないです。人って、できるものに対しては現状で満足してしまう。目標を自分のハードルよりちょっと高く設定すると、やるしかなくなるんですよね。「やる!」と決めたことに挑戦することに成長は詰まっていると思うので、そういった意味で挑戦していきたいなと。

――目標タイムは設定してますか?
鈴木:何とか4時間は切りたいです。

――もう少し早くゴールできそうな気もします
鈴木:いやいや(笑)。これだけは言っときますが、「速い」と言っても全部が速いわけじゃないですから。(短距離と長距離は)全く真逆の競技性です。瞬発力と持久力って全然違うじゃないですか。

◆「いかにブレない安定した走りができるか」

――お尻の筋肉を鍛えて地面を蹴る力が上がるとストライドが伸びて長距離も短距離も速くなると聞いたことがあります
鈴木:僕もお尻の筋肉は常に意識して現役中はトレーニングしてきました。でも、僕の場合は瞬発的な筋肉を鍛えていましたし、練習で数十キロも走っていますけど、足は上がらなくなってきますね。お尻を使わないと膝に来るので、現役中は“裏側の筋肉”を意識していました。

――裏側の筋肉というのはインナーマッスル?
鈴木:インナーもそうだし、体幹もですね。走りは無駄のない動きをすれば体力のロスが減って省エネにもなるし、いかにブレない安定した走りができるか。盗塁においてもブレない走りってすごく大事なんです。

今度は長い時間走ってもブレない走りを作らないといけない。それが新しい発見でもあり、トレーニングも変わってきますし、楽しみがいっぱい詰まってますね。

――走ること自体は楽しみが大きいんですね。
鈴木:「フルマラソンか…」とも思いますけどね(笑)。でも、一度は走ってみたかったので。

⇒インタビュー2:盗塁は「カレーみたいなもの」?!
⇒インタビュー3:鈴木尚広氏の盗塁技術論
⇒インタビュー4:道具へのこだわりとWBC

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ベースボールキング編集部

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