山田は田中浩からレギュラーを奪う
レギュラーを奪う若手選手は、成績が下降気味の中堅・ベテランからレギュラーを奪うケース、故障した選手に代わって出場しそのままレギュラーを奪うなど様々だ。今季も各球団激しいレギュラー争いを繰り広げ、阪神では長年ショートを守るも昨季成績不振に陥った鳥谷敬に代わり、今季は北條史也がレギュラーで起用されることが濃厚との報道もある。
近年では、山田哲人(ヤクルト)も長年セカンドのレギュラーに君臨していた田中浩康(現DeNA)からポジションを奪った選手だ。田中浩は07年からセカンドのレギュラーに定着し、07年と12年にベストナイン、12年にゴールデングラブ賞を受賞するなど、チームに欠かせない存在の選手だった。
13年に開幕から打撃不振が続いた田中浩に代わり、山田が出場機会を掴んだ。山田は同年94試合に出場して、打率.283を記録すると、翌14年は打率.324、日本人の右打者ではシーズン最多の193安打をマークする活躍。完全にレギュラーを奪った。15年からは球界史上初となる2年連続でトリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁)を継続中で、チームだけでなく、球界の顔とも呼べる存在に成長した。
広島・菊池は主力の故障の間にレギュラー奪取
菊池涼介(広島)は、13年に故障で離脱した間に東出輝裕からセカンドのレギュラーを奪った。菊池は11年ドラフト2位で広島に入団。大学時代はショートを主戦場にしていたこともあり、プロ入り後もしばらくは同ポジションを守っていたが、12年途中に東出が故障で離脱すると菊池がセカンドでの出場機会を得る。翌年の春季キャンプでは、東出と菊池でレギュラーを争う形となったが、紅白戦で東出が左膝の前十字靭帯を断裂。
菊池は同年、広い守備範囲と小技を武器に141試合に出場した。打率は.247だったが、球団新記録となるシーズン50犠打、守備ではセカンドとしての最多補殺記録を更新した。翌年は全144試合に出場し、打率.325、11本塁打、58打点の活躍でレギュラーを不動のモノにした。
その他、倉本寿彦(DeNA)、茂木栄五郎(楽天)などは、複数の選手とのポジション争いを制しショートのレギュラーを掴んでいる。レギュラーが固定されていると、若手がポジションを奪う可能性が少なくなる。そんな中でも、わずかなチャンスをモノにした選手が、レギュラーに定着した印象だ。