6日に開幕した『第4回 ワールド・ベースボール・クラシック』。王者奪還を目指す侍ジャパンだが、その前には数多くの強敵が待ち構える。
そこで今回は、編集部の面々が“敵情視察”と銘打って、WBC参加国の大使館にインタビューを敢行。第2回目となる今回は、日本の1次ラウンド第2戦の相手。コアラやカンガルーなどのキュートな動物や、ウルル(エアーズ・ロック)、グレート・バリア・リーフといった大自然でおなじみのオーストラリアを紹介する。
インタビューに応じてくれたのは、オーストラリア大使館、広報・文化担当のマイケル・ホイ参事官。笑顔の素敵な長身のジェントルマンが、オーストラリアの文化や国民性、野球について語ってくれた。
――早速ですが、オーストラリアはどんな国ですか?
ホイ参事官 (以下敬称略) Well…Have you been to Australia?(オーストラリアに行ったことがありますか?)
――ありません。一度行ってみたいのですが…
ホイ 行ったことがないのであれば、是非、行くことをオススメします。オーストラリアには、世界遺産に登録されている19の地域や、世界にも引けをとらない食べ物や、ワイン、日本でも『オージービーフ』で有名な牛肉など、訪れるところや食べるものなど、たくさんありますので、ぜひ経験してもらいたい。
ギャラリーや美術館もたくさんありますが、そのほとんどが無料で見ることができます。
――素晴らしいですね
ホイ 2016年の統計ですが、オーストラリアに訪れた日本人は、前年比23%増の約41万5千人。いったん飽和状態になったんですけど、また上昇傾向にあって、非常に良い傾向だと思います。
日本に来るオーストラリア人も非常に増えていて、前年比18%増の44万5000人のオーストラリア人が日本を訪れています。オーストラリア人は、日本に来ると他のどの国の観光客よりもお金を使って帰ります(笑)。平均して24万6866円を使っているという統計が出ています。
※統計は日本政府観光局調べ
――主に何に使われているのですか?
ホイ ホテルとかツアーですね。あとは、スキー!オーストラリア人はスキーが“大スキ”(笑)
――日本語のジョークまで!お上手ですね。ホイ参事官のオススメの観光地と食べ物はありますか?
ホイ 私のオススメの観光地は、『マーガレット・リバー』です。西オーストラリアにある観光地です。
――『マーガレット・リバー』はどういったところですか?
ホイ 『マーガレット・リバー』は、パースのもっと南に下がったところに位置していて、非常にオーストラリアらしい観光ができます。海岸沿いでは、世界でも有数のサーフィンの名所です。そこでは美しい写真が撮れます。
さらに、そこから10分~15分程度行ったところには、日本でも有名なワインの産地があって、非常においしいワインや食事が楽しめます。
その他にも、首都の『キャンベラ』は、『ブッシュ・キャピタル』と呼ばれていて、5~10分くらい車で行くと大自然が広がっている。国立公園などもたくさんあり、非常にバランスのとれた所です。
――想像するだけで、ワクワクします。次に、オーストラリア国民の特徴をお聞きしたいのですが。
ホイ オーストラリアは移民国家として成り立っており、国民の1/3は移民です。公用語は英語ですが、一般家庭で話されている言語は、300以上に登ります。そのため、文化、民族、言語、宗教など、多様性に富んだ社会が特徴です。
移民国家ということもあって、考え方も色々。様々な国からの考えや思想を取り入れ、それを“オーストラリアっぽく”しながら生活しています。
例えば、日本料理はオーストラリアでも有名で、人気がありますが、日本の料理の技法を用いて、オーストラリアの産物で日本料理を出しているレストランもあり、非常に人気があります。科学、テクノロジー、イノベーション分野においても同じことが言えます。
――なるほど。多文化の良いところを取り入れ、自分たちに会うように変化させているのですね。
ホイ また、オーストラリア人は、非常にアウトドア派の人が多い。全人口の28%の人は、何かしらスポーツやアウトドアをやったりしています。クリケットやラグビー、ネットボール(バスケットボールのルールを基準に、女性が競技できるよう改良されたスポーツ競技)、テニスなどをやっている人が多い。
一人でいろんなスポーツをやる人も結構いて、スポーツが生活の一部になっています。スポーツが盛んなので、五輪でも良い成績を残しています。リオ大会では、メダル獲得数が29個で10番目だった(※日本は41個で6位)。
過去2回の五輪や、連邦政府(英、豪、カナダ、ニュージーランドなどが英連邦に所属する53の国と地域から71チームが参加)開催の『コモンウェルスゲーム』を4回、シドニーからホバートまでのヨットレース、メルボルンではF1や、テニスの全豪オープンも開催しています。
さらに、『ツールドダウンアンダー』といって、自転車の世界大会もホストしているんですよ。
――オーストラリア国内での野球人気は?
ホイ 正直、野球はそんなに野球人口が多くいるわけではないですね。
――プロチームや野球の大会などはありますか?
ホイ プロアマ、男女合わせて約600の野球チームがあり、プロでは7つのレベルのトーナメントリーグがあります。現在が 8シーズン目なので、始まってあまり歴史はありませんが…。
しかし、プロリーグが始まってからは、野球に対する注目度や人気も高まってきています。サッカーの様に、U23、U16、U14、U12など代表チームもあります。
――徐々に野球人気が出てきている状況なんですね
ホイ 国際大会の影響や、海外の野球にも影響を受けています。また、メジャーリーグで活躍しているオーストラリア人も数多くいるので、その影響もあると思います。
日本でプレーした選手もいます。阪神タイガースでプレーし、“JFK”と呼ばれた左腕のジェフ・ウィリアムス投手、ヤクルトにいたミッチ・デニング選手もオーストラリア人です。
このように、オーストラリア人が日本のプロ野球で経験を積んで、オーストラリアに戻ってから、オーストラリアの野球リーグで活躍してくれるのは、非常に光栄。それも野球を広める一つの手立てだと思います。
――ジェフ・ウィリアムス投手はよく覚えています
ホイ まだ野球は、大人気で国を挙げてというところではないですが 、 2004年のアテネ五輪の準決勝でオーストラリアは日本に勝利しました。決勝ではキューバに負けて、銀メダルに終わりましたが、銀メダルを取ったということは、国で初めてのことだったので、みんな記憶に鮮明に残っていると思います。
今回で4回目のWBCですけれども、オーストラリアも4回連続で参加しているので、野球ファンの人も注目してくれるんじゃないかなと思います。
――WBC開幕に向けて、オーストラリアの方の盛り上がりはいかがですか?
ホイ 今日本にいるので、オーストラリア国内でどれだけ盛り上がっているのかはあまりわかりませんが、友人に聞くと、野球が好きな人はWBC楽しみにしてると思いますが、国レベルではそんなには…(笑)日本の野球の盛り上がり方は、オーストラリアでも一目置かれている。2010年に、初めて日本にきたときに、神宮でのヤクルト戦だったと思うのですが、観戦した経験があります。あの盛り上がりが非常に楽しかったので、もっと野球観戦もこれからしていきたいですね。
――大使館の中での盛り上がりはどうですか?
ホイ 大使館員は、外で色々な日本の方にお会いする機会が多いのですが、おそらくWBCが近づくにつれて、必ずその話題が出てくるんじゃないかと思います。
――日本代表“侍ジャパン”の印象は?
ホイ 強いから、恐れ多いです(笑)“侍”は世界ランク1位、オーストラリアは最高で9位になったことがありますが、WBC第1戦で戦うということで、勝ちたいと思ってますが、手ごわいのではないのかと。
オーストラリアでも、第1戦は、ケーブルテレビやネット中継などで見るのではないかと思います。
――しかし、オーストラリアも侮れない相手だと思います。
ホイ 今回のオーストラリアのマネージャー(監督)は、2004年の代表監督だったジョン・ディーブル氏。もしかしたら、その時の流れを持ってきてくれて、良い流れをオーストラリアに吹き込んでくれるのではないかと期待しています。
――日本がアテネ五輪で2敗を喫した時の指揮官。なかなか手強いですね。
ホイ 2014年のメジャーリーグにもかかわった人で、いろんな経験をもったマネージャー陣が、オーストラリア代表を支えていますので、割と強いかもしれませんね。
――では最後に、代表チームに応援メッセージをお願いします。
ホイ ガンバッテ!オーストラリアらしいアプローチをしてほしいと思います。I wish all the best of luck to “SAMURAI JAPAN”, thank you.(侍ジャパンの健闘を祈っています)
そこで今回は、編集部の面々が“敵情視察”と銘打って、WBC参加国の大使館にインタビューを敢行。第2回目となる今回は、日本の1次ラウンド第2戦の相手。コアラやカンガルーなどのキュートな動物や、ウルル(エアーズ・ロック)、グレート・バリア・リーフといった大自然でおなじみのオーストラリアを紹介する。
インタビューに応じてくれたのは、オーストラリア大使館、広報・文化担当のマイケル・ホイ参事官。笑顔の素敵な長身のジェントルマンが、オーストラリアの文化や国民性、野球について語ってくれた。
観光地に食べ物も!オーストラリアは素晴らしい
――早速ですが、オーストラリアはどんな国ですか?
ホイ参事官 (以下敬称略) Well…Have you been to Australia?(オーストラリアに行ったことがありますか?)
――ありません。一度行ってみたいのですが…
ホイ 行ったことがないのであれば、是非、行くことをオススメします。オーストラリアには、世界遺産に登録されている19の地域や、世界にも引けをとらない食べ物や、ワイン、日本でも『オージービーフ』で有名な牛肉など、訪れるところや食べるものなど、たくさんありますので、ぜひ経験してもらいたい。
ギャラリーや美術館もたくさんありますが、そのほとんどが無料で見ることができます。
――素晴らしいですね
ホイ 2016年の統計ですが、オーストラリアに訪れた日本人は、前年比23%増の約41万5千人。いったん飽和状態になったんですけど、また上昇傾向にあって、非常に良い傾向だと思います。
日本に来るオーストラリア人も非常に増えていて、前年比18%増の44万5000人のオーストラリア人が日本を訪れています。オーストラリア人は、日本に来ると他のどの国の観光客よりもお金を使って帰ります(笑)。平均して24万6866円を使っているという統計が出ています。
※統計は日本政府観光局調べ
――主に何に使われているのですか?
ホイ ホテルとかツアーですね。あとは、スキー!オーストラリア人はスキーが“大スキ”(笑)
――日本語のジョークまで!お上手ですね。ホイ参事官のオススメの観光地と食べ物はありますか?
ホイ 私のオススメの観光地は、『マーガレット・リバー』です。西オーストラリアにある観光地です。
――『マーガレット・リバー』はどういったところですか?
ホイ 『マーガレット・リバー』は、パースのもっと南に下がったところに位置していて、非常にオーストラリアらしい観光ができます。海岸沿いでは、世界でも有数のサーフィンの名所です。そこでは美しい写真が撮れます。
さらに、そこから10分~15分程度行ったところには、日本でも有名なワインの産地があって、非常においしいワインや食事が楽しめます。
その他にも、首都の『キャンベラ』は、『ブッシュ・キャピタル』と呼ばれていて、5~10分くらい車で行くと大自然が広がっている。国立公園などもたくさんあり、非常にバランスのとれた所です。
多様性に富んだ社会、スポーツが生活の一部に
――想像するだけで、ワクワクします。次に、オーストラリア国民の特徴をお聞きしたいのですが。
ホイ オーストラリアは移民国家として成り立っており、国民の1/3は移民です。公用語は英語ですが、一般家庭で話されている言語は、300以上に登ります。そのため、文化、民族、言語、宗教など、多様性に富んだ社会が特徴です。
移民国家ということもあって、考え方も色々。様々な国からの考えや思想を取り入れ、それを“オーストラリアっぽく”しながら生活しています。
例えば、日本料理はオーストラリアでも有名で、人気がありますが、日本の料理の技法を用いて、オーストラリアの産物で日本料理を出しているレストランもあり、非常に人気があります。科学、テクノロジー、イノベーション分野においても同じことが言えます。
――なるほど。多文化の良いところを取り入れ、自分たちに会うように変化させているのですね。
ホイ また、オーストラリア人は、非常にアウトドア派の人が多い。全人口の28%の人は、何かしらスポーツやアウトドアをやったりしています。クリケットやラグビー、ネットボール(バスケットボールのルールを基準に、女性が競技できるよう改良されたスポーツ競技)、テニスなどをやっている人が多い。
一人でいろんなスポーツをやる人も結構いて、スポーツが生活の一部になっています。スポーツが盛んなので、五輪でも良い成績を残しています。リオ大会では、メダル獲得数が29個で10番目だった(※日本は41個で6位)。
過去2回の五輪や、連邦政府(英、豪、カナダ、ニュージーランドなどが英連邦に所属する53の国と地域から71チームが参加)開催の『コモンウェルスゲーム』を4回、シドニーからホバートまでのヨットレース、メルボルンではF1や、テニスの全豪オープンも開催しています。
さらに、『ツールドダウンアンダー』といって、自転車の世界大会もホストしているんですよ。
野球人気は上昇中…アテネ五輪では日本に勝利
――オーストラリア国内での野球人気は?
ホイ 正直、野球はそんなに野球人口が多くいるわけではないですね。
――プロチームや野球の大会などはありますか?
ホイ プロアマ、男女合わせて約600の野球チームがあり、プロでは7つのレベルのトーナメントリーグがあります。現在が 8シーズン目なので、始まってあまり歴史はありませんが…。
しかし、プロリーグが始まってからは、野球に対する注目度や人気も高まってきています。サッカーの様に、U23、U16、U14、U12など代表チームもあります。
――徐々に野球人気が出てきている状況なんですね
ホイ 国際大会の影響や、海外の野球にも影響を受けています。また、メジャーリーグで活躍しているオーストラリア人も数多くいるので、その影響もあると思います。
日本でプレーした選手もいます。阪神タイガースでプレーし、“JFK”と呼ばれた左腕のジェフ・ウィリアムス投手、ヤクルトにいたミッチ・デニング選手もオーストラリア人です。
このように、オーストラリア人が日本のプロ野球で経験を積んで、オーストラリアに戻ってから、オーストラリアの野球リーグで活躍してくれるのは、非常に光栄。それも野球を広める一つの手立てだと思います。
――ジェフ・ウィリアムス投手はよく覚えています
ホイ まだ野球は、大人気で国を挙げてというところではないですが 、 2004年のアテネ五輪の準決勝でオーストラリアは日本に勝利しました。決勝ではキューバに負けて、銀メダルに終わりましたが、銀メダルを取ったということは、国で初めてのことだったので、みんな記憶に鮮明に残っていると思います。
今回で4回目のWBCですけれども、オーストラリアも4回連続で参加しているので、野球ファンの人も注目してくれるんじゃないかなと思います。
オーストラリア代表は割と強い!
――WBC開幕に向けて、オーストラリアの方の盛り上がりはいかがですか?
ホイ 今日本にいるので、オーストラリア国内でどれだけ盛り上がっているのかはあまりわかりませんが、友人に聞くと、野球が好きな人はWBC楽しみにしてると思いますが、国レベルではそんなには…(笑)日本の野球の盛り上がり方は、オーストラリアでも一目置かれている。2010年に、初めて日本にきたときに、神宮でのヤクルト戦だったと思うのですが、観戦した経験があります。あの盛り上がりが非常に楽しかったので、もっと野球観戦もこれからしていきたいですね。
――大使館の中での盛り上がりはどうですか?
ホイ 大使館員は、外で色々な日本の方にお会いする機会が多いのですが、おそらくWBCが近づくにつれて、必ずその話題が出てくるんじゃないかと思います。
――日本代表“侍ジャパン”の印象は?
ホイ 強いから、恐れ多いです(笑)“侍”は世界ランク1位、オーストラリアは最高で9位になったことがありますが、WBC第1戦で戦うということで、勝ちたいと思ってますが、手ごわいのではないのかと。
オーストラリアでも、第1戦は、ケーブルテレビやネット中継などで見るのではないかと思います。
――しかし、オーストラリアも侮れない相手だと思います。
ホイ 今回のオーストラリアのマネージャー(監督)は、2004年の代表監督だったジョン・ディーブル氏。もしかしたら、その時の流れを持ってきてくれて、良い流れをオーストラリアに吹き込んでくれるのではないかと期待しています。
――日本がアテネ五輪で2敗を喫した時の指揮官。なかなか手強いですね。
ホイ 2014年のメジャーリーグにもかかわった人で、いろんな経験をもったマネージャー陣が、オーストラリア代表を支えていますので、割と強いかもしれませんね。
――では最後に、代表チームに応援メッセージをお願いします。
ホイ ガンバッテ!オーストラリアらしいアプローチをしてほしいと思います。I wish all the best of luck to “SAMURAI JAPAN”, thank you.(侍ジャパンの健闘を祈っています)