ニュース 2017.03.21. 11:35

ラッキーボーイからヒーローへ!WBC日本代表・小林誠司捕手(27歳) スポーツ人間模様

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8日のオーストラリア戦の5回、満塁のピンチで岡田に声を掛ける捕手小林=東京ドーム 写真提供:共同通信社
持ってるという表現にすり替わり、死語に加えられていたと思ったラッキーボーイ。小久保監督が、小林の話題をする時、必ず口にします。「まったく、想定外の活躍で…」。選んだのは監督ご本人だけに、それはないだろうと思いますが、日本球界は捕手難です。嶋の故障も加わり、大野、炭谷の三択では決めきれなかった事情もわかる。

1次ラウンド、侍ジャパンが第1戦を迎えた朝。巨人・阿部が後輩の小林へSNSをつかって、激励しています。

「先発らしいね。悔いがないようにやってほしい。ピンチになった時は、バンバン近めで勝負だ」。

偉大な先輩のエールで肝が据わったと言います。

小林にとって、阿部には足を向けて寝られない存在です。自主トレに参加し、

「キャッチャーは、気配り、目配り、思いやりの3つが大切だということを教えてくださった。そのひとつも今までは持っていなかったと思います」。

かといって、小林はそれほど協調性がなかったわけではありません。他人のことを思いやる余裕がなかった、という表現が適当でしょう。昨年はプロ3年目で、村田ヘッドコーチから、「最低でも、2割5分は打たないと、キャッチャーではない」と言われ、高橋監督からはダメ出しの連続でした。もし、今回、代表入りしなければ、おそらくこれほどの成長はなかったはずです。

小林が感謝しているのは、同じ捕手の大野と炭谷も同様でした。ピンチの場面で、さりげなく小林はベンチを見る。視線の先に、小久保監督の姿はなし。大野と炭谷がいました。

「大野さんとアシストしています。チームの勝利のためなら、どんなこともする」と炭谷。どうやら、サインを送っているようです。

最も印象に残ったのは1次ラウンドのオーストラリア戦です。1死1、2塁のピンチで菅野に代わって2番手として岡田が登板。ところが、プレッシャーのため、ストライクが入らず、1死満塁と絶体絶命のシーンでした。

ここで、小林がタイムをとって、マウンドへ。「頑張れ」とひと声かけ、背中を3、4回、ポンポンと叩いて激励しています。阿部の気配り、心配り、思いやりの3つはここに集約。岡田が本来の調子を取り戻し、併殺で切り抜けました。

米国との準決勝は22日。巨人のチームメートというだけではなく、同い年の親友、菅野が先発予定です。小林のリードが世界一奪還のキーになる。ラッキーボーイからヒーローへの正念場。
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