中継ぎ陣の大誤算
ペナントレースを制するために必要な要素というのは数多くある。中でも安定した戦いを支えるのが『ブルペンの力』だ。
開幕5連勝を飾るなど、7試合で6勝1敗と開幕ダッシュに成功した巨人。オープン戦最下位から一転、シーズンが始まってからの変わり身ぶりには「さすが」との声も挙がっていたが、4月8日の雨天ノーゲームを境にその勢いは突如として影を潜めた。
9日の阪神戦から14日の中日戦にかけてあれよあれよという間に5連敗。気がつけば貯金はすべてなくなり、勝率5割に逆戻り。中でも
開幕ダッシュの期間を振り返ってみると、勝ちパターンが見事にハマっていた。先発陣は軒並みクオリティ・スタート(=QS/6回以上投げて自責点が3以下)を達成しており、8回はマシソン、9回はカミネロへというリレー。先発投手の力投と2017年度版の新たな方程式で白星を稼いでいた。
しかし、毎試合そう上手く回ることはない。初黒星を喫した6日のDeNA戦を例に取ると、先発の吉川光夫が6回まで2失点の力投。ここで7回から山口鉄也をマウンドへと送り込んだが、まさかの2失点で勝ち越しを許し、そのまま敗れた。もし吉川があと1イニング投げることができれば、結果は変わったかもしれない。
また、9日の阪神戦は引っ張った大竹寛が7回につかまり同点とされてしまうと、8回に2番手の森福允彦が決勝弾を被弾。なんとか7回まで、という計算が逆にアダとなった格好だった。
頼みの方程式にも不安
さらに悪いことに、ここに来て勝利の方程式にも不安が見えはじめた。
13日の広島戦。この日は1点リードで9回を迎えた。ここで高橋由伸監督は満を持して守護神・カミネロを投入。ところが、先頭の代打・松山にいきなり同点弾を浴びると、そこから一気に6失点の大炎上。首位・広島との大事なゲームをショッキングな形で落としてしまった。
14日の中日戦はマシソンとカミネロが2イニングを無失点に抑える力投でつなぐも、今度は延長12回に宮国椋丞がつかまりサヨナラ負け。5連敗という事実以上に、その内容に不安が募る。
数字を見てみても、開幕7試合目まではリーグトップの救援防御率2.12を誇っていた中継ぎ陣だが、4月9日以降の5試合ではそれが4.63にまで跳ね上がっている。中継ぎ陣の整備は急務だ。
V奪還へのカギは『ブルペンの力』にあり...。早急な対応が求められる。