パ・リーグの異変
“春の珍事”――?開幕から2週間が経過したパ・リーグで、こんな言葉が飛び交っている。
順位表に目をやると、その理由が分かる。開幕5カードを消化した現在、首位に立っているのは昨年5位の楽天。以下、2位がオリックス、3位に西武と続き、ソフトバンク、ロッテ。昨年の日本一王者・日本ハムは最下位に沈んでいるのだ。
昨年Bクラスに終わったチームがAクラスに躍進し、AクラスだったチームがBクラスへと転落。開幕前は今年も日本ハムとソフトバンクの“2強”という見方がほとんどだっただけに、昨季Bクラス勢の逆襲には驚きの声が挙がっている。
快進撃の立役者
中でも首位に立つ楽天は、開幕12戦10勝という最高のスタートを切った。この快進撃の大きな要因となっているのが、一新された『勝利の方程式』だ。
【楽天の勝ちパターン】
松井裕樹 9試合(10回) 2勝0敗6セーブ 防御率0.00
ハーマン 8試合(7回1/3) 0勝0敗1セーブ・5ホールド 防御率1.23
森原康平 9試合(9回) 0勝0敗5ホールド 防御率0.00
福山博之 7試合(6回) 1勝0敗5ホールド 防御率0.00
今年はこの4人が主に勝ちパターンで登板。先発投手は5回まで試合を作れれば6回から福山が登場し、7回はルーキーの森原、8回は新助っ人のハーマンという新戦力コンビ。最後は守護神・松井で締めるという流れが確立されている。
救援防御率はリーグ4位の3.14となっているものの、この4人に限定すると防御率0.28という驚異の数字。6回までリードがあれば、まず逃げ切れるという形ができているのだ。
盤石リリーフ陣に隠れた不安
2人の新戦力を加え、勝利の方程式が完成した2年目の梨田イーグルス。しかし、大きな武器である一方で、それが不安要素にもなっている。
先発陣の成績を見てみると、防御率4.62はリーグで下から2番目。投球回数62回1/3はリーグ最少の数字だ。消化試合数に差があるため一概に比較はできないが、同じ12試合を消化している西武が71回1/3であることを見ても、やはりその少なさは否めない。
当然ながら後ろの投手への負担は増え、救援陣全体の登板数は早くも「51」。投球回数48回2/3とともにリーグ最多の数字となっている。
大きな力となっている一方で、やはりその登板過多は心配の種。特に経験の少ないルーキーや新助っ人も名を連ねているだけに、不調や離脱の不安は常につきまとう。
いかにして負担を軽減しながら長いシーズンを戦っていくのか。鮮やかな開幕ダッシュを決めた楽天における大きな課題になる。梨田昌孝監督とコーチ陣の手腕が試されることになりそうだ。