ソフトバンクの二軍本拠地・タマホームスタジアム筑後

◆ 予想以上の賑わいも…

 少年野球の人口が減少しているという。確かに十数年前に比べると、野球をする子供たちの姿を目にする機会は減った。それでもプロ野球は盛り上がりを見せ、多くの観客が球場に足を運んでいる。プロ野球の将来はどこに向かっているのだろうか…。

 先日急に思い立ち、久々のプロ野球観戦に出向いた。プロ野球といっても、二軍の試合のことだ。一軍の試合やメジャーリーグの試合、日米野球などは幾度となく観戦に訪れたが、最後に二軍の公式戦を訪れたのは25年ほど前だったと記憶している。その時は甲子園球場のバックネット裏で、阪神と広島のデーゲームを観戦した。そして今回はさいたま市にあるロッテ浦和球場まで足をのばした。

 事前に調べると、入場料は必要ないらしい。数少ない観覧席は一塁側と三塁側にあるだけだという。ホームページの写真を見た限り、その数は合計100席程度に見えた。そして、一軍の公式戦とは違ったドキドキ感を胸に球場に向かった。

 試合開始15分ほど前に到着すると、球場の周りを選手たちが歩いている。この距離感は、一軍の公式戦ではなかなか感じられない。三塁側の観覧席に行くと、すでに席は埋まっており、立ち見客も数十人いた。一塁側も同様だった。

 そして試合開始から十数分後、1回裏が終わると同時に球場を後にした。一緒に訪れた小学生の娘が「なんで座れないの?」「もう帰りたい」と駄々をこねたからだ。

 座席の確保が出来ず、娘の身長では選手たちの動きはほとんど見えなかった。球場を訪れる前は、観客は数十人程度だろうと高をくくっていたが、実際は200人以上いた。週末だったためか、予想以上の“賑わい”だった。

 しかし、入場が無料とはいえ座席の数が圧倒的に少ないことや、バックネット裏に席がないことなど、この球場が観戦に不向きなことは明白だった。そして試合も淡々と進行し、そこに試合以外のエンターテイメント性は全くない。

 日本では二軍以下のことをファームと呼ぶ。文字通り「育成」の場である。近年では二軍の球場で行うイベントに力を入れるチームも出てきているとは言え、あくまでも主眼はやはり「育成」にあるのだ。

 それでも、将来のスターを間近で見られるという貴重な機会。あのイチローや松井秀喜といったスーパースターたちも、入団当初はファームで汗を流していた。そんな二軍の試合を“育成の場”だけで終わらせるのはもったいない。

◆ “改革案”を考える

 また、二軍のホームスタジアムはチームの本拠地からほど近い場所にあるのがプロ野球界の常識だ。札幌から遠く離れた千葉県の鎌ヶ谷をホームとしている日本ハムは、唯一の例外であると言えるだろう。

 メジャーリーグと違い、一軍と二軍の入れ替えが頻繁に行われるプロ野球。そのため、一軍と二軍の距離が遠すぎると不便なのは確かだろう。それでも、プロ野球の将来を考えたときには、各チームの二軍は全国各地に配置するのが望ましいのではないかと考える。

 例えば「東北リーグ」や「北関東・甲信越リーグ」、「四国・九州リーグ」など…。全国にはナイター設備も備わった素晴らしい球場が幾つも存在する。

 それらを二軍のホームグラウンドにすることで、普段一軍の公式戦にはなかなか足を運べない潜在的なファンが、プロ野球をより身近に感じてくれるようになるかもしれない。

 ただし、日本には各地で独立リーグが存在している。彼らとどのように共存していくのか、ともに日本の野球界の未来を考えなければいけない時期に来ているのではないか。

 二軍を全国各地に配置するには、多くの高いハードルを超えないといけないのは百も承知。しかしさらなる野球界の発展につなげるためにも、二軍の在り方にメスを入れる時が近づいているのではないだろうか。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊・プロフィール】
1976年、和歌山県出身。大学卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。 野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。日本にファンタジーベースボールを流行らせたいという構想を持ち続けている。



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