◆ 5月好調!2位まで浮上
開幕から2カ月…。同リーグ同士での対戦がひと段落し、30日からは交流戦の幕が開ける。
パ・リーグでは楽天が快進撃を見せ、30勝12敗の貯金18で堂々の首位。昨季の悔しい思いを糧にV奪回を目指すソフトバンクが3.5ゲーム差の2位につけている。
ここに来て勢いに乗っているのが2位のソフトバンクだ。5月は16勝7敗と9つもの貯金を作り、月間勝率.696は12球団トップの成績を残す。
28日の日本ハム戦でも投打がかみ合い、6-1で完勝。この試合、先発の千賀滉大が8回を投げて5安打、1失点に抑える好投を見せて勝利を呼び込んだが、実は守備陣の貢献度も高かった。
◆ 日本記録も狙える堅守
この日のソフトバンク内野陣は、2つの併殺を含む12個の内野ゴロを記録。捕手の甲斐拓也も盗塁を1つ阻止するなど、バックが投手陣を盛り立てた。
ソフトバンクはこの試合を失策「0」で終え、今季の総失策数は僅かに12個のみ。パ・リーグで最も多い48試合を消化しているにもかかわらず、チームの失策数は2番目に少ない楽天(42試合/17個)より5個も少ない。なお、他の4チームはいずれも20失策以上を記録しており、ソフトバンクの失策数の少なさが際立っている。
【パ・リーグ失策数】
ソフトバンク 12失策/49試合(シーズン35失策ペース)
楽 天 17失策/42試合(シーズン58失策ペース)
西 武 22失策/45試合(シーズン70失策ペース)
オリックス 30失策/46試合(シーズン93失策ペース)
ロッテ 30失策/48試合(シーズン90失策ペース)
日本ハム 32失策/46試合(シーズン99失策ペース)
もしこのペースでいくと、ソフトバンクはシーズンを35失策で終える計算になる。プロ野球のシーズン最少記録は1991年に西武がマークした38失策。ちなみに、その年は今季より13試合も少ない130試合制だった。
当時とは試合数に違いはあるが、今季のソフトバンクが日本記録を塗り替える可能性は十分にあるだろう。
◆ 失策が少ないチームが強い
野球界では、「失策の数がそのまま守備力の評価にはつながらない」というのが定説だ。
たとえば、野手の守備範囲が狭ければ、それだけ守備機会も減るので自然と併殺の数も減り、逆に上手いからこそ守備範囲が広いがために、打球に触れてしまって失策が記録されることも多々あるからだ。
しかし、最近のパ・リーグではチームの失策数がチームの成績と直結するケースが実は多い。2009年から昨季までの8年間で見ると、シーズン最少失策チームが5度もリーグ優勝を果たしており、優勝を逃した3チームも僅差の2位でシーズンを終えている。
現段階でソフトバンクは楽天を追いかける立場だが、日本記録も狙える堅い守備力を武器にV奪還を狙う。
【パ・シーズン最少失策チームの最終成績】
2009年 日本ハム(55個)⇒優勝
2010年 西武(72個)⇒2位(ゲーム差なし)
2011年 ソフトバンク(51個)⇒優勝
2012年 日本ハム(72個)⇒優勝
2013年 楽天(63個)⇒優勝
2014年 オリックス(63個)⇒2位(0.0ゲーム差)
2015年 ソフトバンク(68個)⇒優勝
2016年 ソフトバンク(67個)⇒2位(2.5ゲーム差)
文=八木遊(やぎ・ゆう)