ニュース 2017.06.21. 14:00

『3人の涙』は低迷する巨人を変えるか

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巨人・亀井善行(C)KYODO NEWS IMAGES

良い形で締めくくった交流戦


 6月19日、雨で中止になっていたDeNA-オリックスの一戦が行われ、2017年のセ・パ交流戦全日程が終了した。

 セ・リーグ3位で交流戦を迎えた巨人は、開幕9連敗という最悪のスタート。交流戦前から続いた連敗は「13」まで伸び、球団ワースト記録を更新するなど、まさにどん底の状態に陥っていた。

 それでも6月9日の日本ハム戦でようやく初勝利を掴むと、6月13日からの6連戦は5勝1敗で乗り切り、最終成績は6勝12敗。一時はリーグ順位も5位まで落ちたが、最後の巻き返しで現在は4位に持ち直し、リーグ戦の再開を待っている。


エースが流した涙


 本当に苦しかった交流戦。象徴的だったのは、エースが流した涙だろう。

 6月13日のソフトバンク戦。先発した菅野智之は9回120球の熱投で1失点の完投勝利。試合後のお立ち台では「連敗の記録を伸ばしてしまったのは自分なので、なんとか流れを変えようという気持ちを持って投げました」と語り、その目からは涙が溢れた。

 5月30日の交流戦初戦、楽天を相手に5回8失点(自責は6)で敗れると、つづく6月6日の西武戦では味方打線に援護をもらいながらも6回5失点で降板。その後チームは敗れ、連敗は球団ワーストタイの11に伸びた。

 2度に渡って連敗を止めることができなかった責任。それがお立ち台の言葉にも表れていた。エースでありながらチームが一番苦しいときに助けられなかった不甲斐なさ、情けなさ…。悔しい感情が一気に溢れてきた瞬間だった。


スタートラインに立ったFA戦士


 さらに菅野の涙の翌日、また別の男が東京ドームのお立ち台で涙を流した。巨人加入後初登板で初勝利を挙げた山口俊である。

 FA組として期待されながら、右肩の故障で戦線離脱。開幕一軍を逃すと、そのまま長いリハビリ生活を強いられた。チームが不振に苦しむ中、戦力となれなかった山口と陽岱鋼、森福允彦の“FAトリオ”は度々その元凶として槍玉に挙げられ、言い返すことができない悔しさ、不甲斐なさは凄まじいものがあったことだろう。

 迎えた6月14日、2カ月半遅れの開幕戦でFA右腕が躍動。6回まで強力ソフトバンク打線を無安打に封じ、後ろへバトンを繋ぐ。すると受け継いだスコット・マシソンが2回を無安打無失点でつなぐと、最後のアルキメデス・カミネロも無安打で9回を締める“ノーヒットノーランリレー”。プロ野球史上4度目、セ・リーグでは初となる快挙を成し遂げた。

 しかし、初登板で大仕事をやってのけた男が発した「初めまして!山口俊です!よろしくお願いします!」という第一声は明らかに上ずっていた。

 「勝ててホッとしています」。この言葉を絞り出した後、男の目から涙が止まらなくなる。

 「FAで来てすごい迷惑をかけていましたし、これからジャイアンツの一員としてしっかり頑張っていきたいと思います」。しばしの沈黙を経て出てきたこの言葉が、右腕の正直な気持ちだった。

 常に勝利が求められ、常に注目が集まるチームにFAで加入したことの重み。チームが苦しむなか、何も出来ない自分への苛立ち、怒り…。すべてを背負って立ったマウンドで、山口はようやく巨人の一員としての第一歩を踏み出した。


まさに“決死の一撃”


 そして最後が、6月18日のロッテ戦。交流戦最終戦でヒーローになったのは、延長12回に値千金の逆転サヨナラ3ランを放った亀井善行だった。

 男はお立ち台に呼び込まれた時から号泣していた。「本当にね、もうちょっと心折れてたので…。奇跡としか言いようがないです」。それほどまでに追い込まれていた。

 リードしながら追いつかれ、延長戦にもつれこんだ試合。亀井は途中から代打で出場した。第1打席は8回、マギーが敬遠されて迎えた一死一二塁の打席で捕邪飛。10回の第2打席はまたも目の前でマギーが歩かされ、一死一二塁のチャンスで空振り三振。そして12回、4-5となった直後にまたもマギーが勝負を避けられ、一死一二塁で亀井が打席へ。

 「最後打てなかったら命取られると思って…。本当にそのくらいの気持ちで行きました」。場内からは笑いが起こったが、きっと本人は本気だった。

 「どこ飛んでいったかもわからなかった」。無心で振り抜いた打球は、大歓声のライトスタンド上段へと消える。

 ダイヤモンドを周る時から涙が溢れ、仲間が待つホームへ飛び込んだ時には号泣。高橋由伸監督に出迎えられると感情を抑えることができず、そのまま胸に抱きつくようにして泣いた。

 亀井も上述の2人と同じように、「連敗中なにも出来ていなかったので」とチームが苦しい時に力になれなかった悔しさがあった。「今日も本当に申し訳なかったんですけど、最後に打てて本当に良かったです」と言葉を絞り出し、球場は大きな歓声に包まれたが、最後まで涙が止まることはなかった。


 状態は上向きでリーグ戦の再開を待つことになったが、阿部慎之助が負傷で離脱するなど不安要素もある。そんなチームを上昇気流に乗せていくことができるのは、苦しんだ交流戦で立ち直るキッカケを掴んだこの3人だろう。

 良い勝ち方が続いた交流戦最後の1週間。巨人は涙の数だけ強くなるのか…?ここから一気の巻き返しへ、リーグ戦再開後の戦いぶりに注目だ。



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