大健闘で台風の目に
シーズン開幕からもうすぐ3カ月。交流戦が閉幕したプロ野球はつかの間の休みの後、23日からリーグ戦が再開する。
ここまでのパ・リーグを盛り上げているのが、楽天の快進撃だろう。60試合終了で40勝20敗、貯金20は堂々のリーグ首位。ここまでの強さを予想できた人は少なかったのではないか。
脅威を与える助っ人トリオ
【楽天・助っ人トリオの今季成績】
ウィーラー 60試 率.280(239-67) 本13 点35
アマダー 48試 率.217(180-39) 本7 点22
ペゲーロ 60試 率.268(235-63) 本15 点48
開幕直後は絶不調に苦しんだウィーラーだったが、気がつけば今季も打線の中心として活躍。スタートダッシュを決めたペゲーロはここに来てその勢いに陰りがみえるものの、リーグ4位タイの15本塁打を記録するなど、相手投手に脅威をもたらしている。
アマダーは今なお本調子を取り戻せずにいるが、逆に言えばそこは楽天の“のびしろ”。好調なチームの中でアマダーが本領発揮となれば、このままの逃げ切りも現実味を帯びてくるはずだ。
実を結び始めた“野手育成”
そしてこの助っ人3人に注目が集まりがちな今季であるが、実は日本人選手たちの奮闘も目立っている。
【楽天・主な日本人選手の今季成績】
岡島豪郎 59試 率.291(182-53) 本1 点25
茂木栄五郎 57試 率.319(226-72) 本12 点37
藤田一也 53試 率.287(136-39) 本1 点19
銀 次 60試 率.294(218-64) 本2 点21
島内宏明 60試 率.276(210-58) 本6 点21
1番に定着してブレイク中の2年目・茂木栄五郎を筆頭に、超重量打線の脇を固める選手たちが軒並み好成績。特筆すべきは、藤田以外は楽天生え抜きの選手ということだ。
楽天と言えば、田中将大や松井裕樹らドラフト1位を投手の有望株に捧げてきたチーム。実際、野手のドラフト1位指名は2015年のオコエ瑠偉が初めてのことだった。
そんななか、2位以下で指名した選手たちもじっくりと育成。低迷期には編成の偏りや野手が育たないといった部分を指摘する声も少なくなかったが、ここに来て野手の育成も実を結び始めた。そして、その選手たちが強さの源になっている。
3本柱に次ぐ矢を…
好調な打線に目が行きがちな今季の楽天。しかし、投手力も着実にパワーアップしていることを忘れてはならない。特に岸が加わった先発陣はリーグ屈指の強力な布陣となり、先発防御率3.05はリーグ断トツの数字だ。
【楽天・先発3本柱】
岸 孝之 10試(68.2回) 5勝2敗 防2.23
則本昂大 11試(82.0回) 8勝2敗 防2.96
美馬 学 12試(83.2回) 7勝1敗 防1.83
チームを支えているのがこの3本柱。ちなみに、規定到達者を3名輩出しているのは楽天と西武の2チームだけである。
エースの則本昂大は8試合連続2ケタ奪三振の日本新記録を樹立するなど、今年になってひと皮もふた皮も向けた姿を見せており、押しも押されぬ大黒柱へと成長。そこにFAで岸が加わり、昨季ケガから復活して4年ぶりの規定到達を果たした美馬もここまで安定した投球を披露している。
課題といえばこの3人に続く投手がいないこと。ピリッとしない姿が続いた辛島航や釜田佳直、故障で離脱中の塩見貴洋や有望株の森雄大、安楽智大ら若手の台頭に期待したいところだ。
4年ぶりVへ、好スタートを切った楽天。実は創設初優勝を成し遂げた2013年でも、60試合終了時は33勝27敗の3位だった。単純に比較することはできないとはいえ、今年の貯金「20」という成績がいかに凄まじいのかを実感することができる。
パ・リーグに旋風を巻き起こしている楽天は、このままトップでゴールを駆け抜けることができるのか。リーグ戦再開後の戦いから目が離せない。