今年のオールスターで主役の座を射止めるのは…?(C)KYODO NEWS IMAGES

◆ 球宴後も活躍するMVP受賞選手の特徴は…

 ペナントレースも前半戦を終え、今年も夢の球宴・オールスターゲームの時期がやってきた。交流戦のスタートによって『年に1度の真剣勝負』感は薄れたとはいえ、セ・パ両リーグのスター選手が集まるだけに、毎年楽しみにしているファンも多いことだろう。

 華やかな夢の球宴で活躍した選手を見たファンは、ペナントレース再開後にひいきチームで活躍してほしいと願うが、実際のところはどうなのだろう。そこで、過去10年のオールスターゲームでMVPを獲得した選手たちの後半戦のシーズン成績をチェックしてみた。

 まずは打者陣の成績から。

【過去10年・オールスターMVPの後半戦】
<2007年>
▼ アレックス・ラミレス(ヤクルト)
後半戦:率.335 本16 点65
[前半戦:率.350 本13 点57]
⇒ 通算:率.343 本29 点122

▼ 阿部慎之助(巨人)
後半戦:率.246 本14 点40
[前半戦:率.293 本19 点61]
⇒ 通算:率.275 本33 点101

<2008年>
▼ 山崎武司(楽天)
後半戦:率.261 本12 点35
[前半戦:率.284 本14 点45]
⇒ 通算:率.276 本26 点80

▼ 荒木雅博(中日)
後半戦:率.223 本1 点11
[前半戦:率.251 本3 点17]
⇒ 通算:率.243 本4 点28

<2009年>
▼ 青木宣親(ヤクルト)
後半戦:率.372 本9 点35
[前半戦:率.249 本7 点31]
⇒ 通算:率.303 本16 点66

▼ 松中信彦(ソフトバンク)
後半戦:率.275 本7 点25
[前半戦:率.285 本16 点55]
⇒ 通算:率.279 本23 点80

<2010年>
▼ 阿部慎之助(巨人)
後半戦:率.247 本14 点34
[前半戦:率.301 本30 点58]
⇒ 通算:率.281 本44 点92

▼ 片岡易之(西武)
後半戦:率.295 本3 点24
[前半戦:率.295 本10 点30]
⇒ 通算:率.295 本13 点54

<2011年>
▼ 畠山和洋(ヤクルト)
後半戦:率.248 本12 点46
[前半戦:率.292 本11 点39]
⇒ 通算:率.269 本23 点85

▼ 中村剛也(西武)
後半戦:率.278 本22 点62
[前半戦:率.260 本26 点54]
⇒ 通算:率.269 本48 点116

▼ 稲葉篤紀(日本ハム)
後半戦:率.246 本5 点23
[前半戦:率.275 本7 点31]
⇒ 通算:率.262 本12 点54

<2012年>
▼ 中村紀洋(DeNA)
後半戦;率.239 本3 点19 
[前半戦:率.295 本8 点42]
⇒ 通算:打率.274 本11 点61

▼ 陽岱鋼(日本ハム)
後半戦:率.301 本2 点20
[前半戦:率.277 本5 点35]
⇒ 通算:率.287 本7 点55

<2013年>
▼ 新井貴浩(阪神)
後半戦:率.233 本4 点29
[前半戦:率.293 本11 点41]
⇒ 通算:率.267 本15 点70

▼ 内川聖一(ソフトバンク)
後半戦:率.294 本10 点40
[前半戦:率.332 本9 点52]
⇒ 通算:率.316 本19 点92

<2014年>
▼ ブラッド・エルドレッド(広島)
後半戦:率.199 本8 点24
[前半戦:率.290 本29 点80]
⇒ 通算:率.260 本37 点104

▼ 柳田悠岐(ソフトバンク)
後半戦:率.291 本3 点19
[前半戦:率.337 本12 点51]
⇒ 通算:率.317 本15 点70

<2015年>
▼ 会沢翼(広島)
後半戦:率.187 本2 点9
[前半戦:率.271 本4 点21]
⇒ 通算:率.246 本6 点30

<2016年>
▼ 筒香嘉智(DeNA)
後半戦:率.342 本22 点53
[前半戦:率.308 本22 点57]
⇒ 通算:率.322 本44 点110

▼ 大谷翔平(日本ハム)
後半戦:率.316 本12 点40
[前半戦:率.331 本10 点27]
⇒ 通算:率.322 本22 点67

上記の選手たちのなかで、後半戦も引き続き好調だったと言えるのは2007年のラミレス、2009年の青木、2012年の陽、2016年の筒香&大谷だろう。実際、ラミレスは7月から9月にかけて3カ月間連続で月間MVPに選出され、青木も前半戦の不振をカバーする活躍でチームを3年ぶりのAクラス入りに導いた。

 昨年も、筒香がオールスターを終えたばかりの7月に12試合で打率.512、10本塁打と鬼神のごとき活躍を見せて二冠王に輝き、大谷も自身2度目の2ケタ勝利&2ケタ本塁打を記録。大逆転での4年ぶりリーグVに貢献する活躍を見せたのは記憶に新しい。

 対照的に後半戦に大きく成績を落としたのが2010年の阿部、2014年のエルドレッドなど、受賞当時で30歳を超えるベテラン選手たち。どちらかといえば若手選手が前半戦で好成績を挙げてオールスターに選出された後、後半戦は相手チームに研究されて成績を下げると見ていたが、それ以上にベテラン選手が夏場になるとバテてくるという傾向が見られた。

◆ 投手のオールスターMVPは吉兆の証!?

 続いて投手のMVP受賞選手を見てみよう。

<2012年>
▼ 前田健太(広島)
後半戦:12試 5勝4敗 防1.71
[前半戦:17試 9勝3敗 防1.40]
⇒ 通算:29試 14勝7敗 防1.53

<2013年>
▼ 沢村拓一(巨人)
後半戦:19試 1勝4敗6ホールド 防4.34
[前半戦:15試 4勝6敗 防2.46]
⇒ 通算:34試 5勝10敗6ホールド 防3.13

<2015年>
▼ 藤浪晋太郎(阪神)
後半戦:12試 7勝2敗 防2.10
[前半戦:16試 7勝5敗 防2.62]
⇒ 通算:28試 14勝7敗 防2.40

 打者陣とはうって変わり、投手は全員が当時20代だった勢いのある選手。スタミナ切れを起こすというよりも、チームの起用法で大きく左右された形であるが、後半戦で成績を落としたと言えるのは沢村くらい。その沢村にしても、本格的にリリーフとして起用されるようになった9月12日の試合以降は防御率0.63を記録し、巨人のリーグ優勝に貢献している。

 調べてみると、野手のオールスターMVPは30歳を過ぎていなければ成績を落とさずに好成績を挙げる可能性が高く、投手のオールスターMVP選手は引き続き後半戦も活躍するという傾向が強い。

 今年のオールスターMVPは誰になるのかとともに、その選手が後半戦はどうなるのかにも注目だ。

文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)

【福嶌弘・プロフィール】
1986年、神奈川県生まれ。バイク・クルマの雑誌の編集部を経て2015年からフリーライターに。父が歌う「闘魂込めて」を聴いて育ったため、横浜出身ながら生来の巨人ファン。『甲子園名門野球部の練習法』(宝島社)『プロ野球2017 シーズン大展望』(洋泉社)、『がっつり!甲子園2017』(日本文芸社)などに執筆。

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福嶌弘

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