DeNA・宮崎敏郎(C)KYODO NEWS

◆ 対エースに強い打者、谷間の投手に弱い打者

 ペナントレースは既に佳境を迎えている。誰もがひいきのチームの勝利を願うし、応援する選手が活躍する姿が見たい一心で試合を追ってきたはずだ。もちろん、順位争いが激しくなるこれからの終盤戦においても、誰がどう活躍するのかは大きなポイントになる。

 ローテーションである程度固定されている先発投手の場合、その日の予告先発をチェックすれば、「○曜日は~~投手が投げる日」と意識するが、一方で野手の場合はあまり“曜日”に着目することはない。しかし、選手によっては火曜日、金曜日とカードはじめで活躍するケースもあれば、木曜日、日曜日とカード終わりで本領を発揮する打者もいる。

 そこで、今回はセ・パ両リーグの規定打席到達選手を対象に『曜日別の打率』を調査。ここまでの各曜日の成績トップ3を紹介してみたい。

◆ 週の前半は順当な結果?

 8月20日終了時点での曜日別の打率を集計したところ、以下のようになった。

<月曜日>
1位 .750 銀次(楽天/本0、点2)
2位 .667 鈴木誠也(広島/本0、点0)
3位 .571 柳田悠岐(ソフトバンク/本0、点0)

 本来は移動日になるため試合数が少ないが、それでも銀次の7割強という打率は驚異的。2位以下も両リーグの打率上位選手が順当に顔を出しているが、現時点でのパリーグ首位打者・秋山翔吾(西武)は.071とイマイチな成績に終わっている。

<火曜日>
1位 .409 宮崎敏郎(DeNA/本1、点5)
2位 .407 銀次(楽天/本0、点6)
3位 .394 秋山翔吾(西武/本3、点15)

 裏ローテーション1戦目は、現在セ・リーグ首位打者の宮崎敏郎が堂々のトップに。月曜日1位の銀次はここにも顔を出した。また、惜しくも4位で名前は載らなかったが、大卒ルーキー・京田陽太(中日)の健闘も見逃せない。

<水曜日>
1位 .394 マギー(巨人/本2、点9)
2位 .379 柳田悠岐(ソフトバンク/本8、点23)
3位 .369 宮崎敏郎(DeNA/本2、点10)
3位 .369 鈴木誠也(広島/本7、点18)

 打率ではマギーが4割近い打率を残した一方、特筆すべきは2位・柳田悠岐と3位タイ・鈴木誠也の本塁打。柳田悠岐はシーズン全体の28.5%の本塁打をこの日に放ち、鈴木誠也は安打数の約3分の1が本塁打で、OPSは1.267をマークしている。

<木曜日>
1位 .423 坂本勇人(巨人/本3、点6)
2位 .421 宮崎敏郎(DeNA/本4、点13)
3位 .375 中谷将太(阪神/本3、点8)

 トップ3をセ・リーグ勢が占めた木曜日。首位打者を争う坂本勇人と宮崎敏郎が貫録のワンツーを決めた。意外なところでは中谷将太が3位に食い込んでいる。ちなみに、パ・リーグの1位は秋山翔吾の.357だった。

◆ 週末は意外な名前も…?

 週の前半が順当な結果となった一方、週の後半は“荒れ模様”。意外な選手が上位に名を連ねている。

<金曜日>
1位 .413 中島宏之(オリックス/本1、点9)
2位 .373 秋山翔吾(西武/本4、点8)
3位 .355 西川遥輝(日本ハム/本1、点5)

 木曜日とはうって変わり、パ・リーグ勢がトップ3をジャック。1位の中島宏之は長打こそ少なめだが、打率4割は堂々たる数字。ちなみに、セ・リーグではゲレーロ(中日)、バレンティン(ヤクルト)などの外国人選手が好成績を残す傾向がある。

<土曜日>
1位 .393 安部友裕(広島/本0、点8)
2位 .371 アマダー(楽天/本8、点20)
3位 .364 エルドレッド(広島/本6、点17)

 シーズン打率3割の安部友裕はまだしも、セ・リーグ打率16位のエルドレッドや、パ・リーグ打率22位のアマダーがランクインしているというやや特殊な傾向が出た土曜日。ランキングからは漏れたがペゲーロ(楽天)も好調で、スラッガータイプの選手が好成績を残している。

<日曜日>
1位 .432 丸 佳浩(広島/本4、点15)
2位 .421 茂木栄五郎(楽天/本5、点12)
3位 .381 バレンティン(ヤクルト/本6、点15)

 日曜日は丸佳浩、茂木栄五郎といった俊足好打な選手たちが意外な長打力を発揮。また、バレンティンは曜日の変動が激しいタイプで、金曜・日曜は打率.350を超えてくる一方、土曜日は.190と低迷。週明け月~火曜日は1割台と大不振だ。

 こうして調べてみると、「やはり」というべきか打率を3割台に乗せてきている打者は曜日に関係なく打っているものの、谷間の投手が登板しやすい木曜日は特に好成績となることがわかる。

 また、エースであったり表ローテーションの主戦投手は主砲相手に逃げないためか、金曜日や土曜日は外国人選手の成績が上がり、とりわけ本塁打も出やすいようだ。

 いよいよ大詰めとなるペナントレース。上記の成績をもとに観戦すれば、残り試合のキーマンが浮かび上がってくるかもしれない。

文=福嶌 弘(ふくしま・ひろし)

【福嶌弘・プロフィール】 1986年、神奈川県生まれ。バイク・クルマの雑誌の編集部を経て2015年からフリーライターに。父が歌う「闘魂込めて」を聴いて育ったため、横浜出身ながら生来の巨人ファン。『甲子園名門野球部の練習法』(宝島社)『プロ野球2017 シーズン大展望』(洋泉社)、『がっつり!甲子園2017』(日本文芸社)などに執筆。

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