涙の退任セレモニー
10月4日、本拠地で行われた巨人戦をもって2017年シーズンの全日程を終えたヤクルト。今季は45勝96敗2分でぶっちぎりの最下位に終わり、96敗は球団史上ワースト記録。それでも、試合終了後に行われた最終戦セレモニーでは、今季限りで退任する真中満監督には温かい拍手が贈られた。
就任1年目には前年最下位のチームを率い、14年ぶりとなるリーグ制覇を達成。監督キャリアのスタートは順風満帆なものとなったが、翌年は相次ぐ故障者にも苦しみ5位まで転落。そして、今季は球団史に残る屈辱を味わった。
歓喜からどん底まで経験した中身の濃い3年間。セレモニーで自身の思い出を振り返る映像が大型ビジョンに流れると、あふれるものを我慢することができなかった。
「本当に不甲斐ないシーズンでしたが、熱いご声援本当にありがとうございました。この悔しさをバネに選手には頑張ってほしい」。ファンへの感謝と選手たちへのエールで最後の挨拶を締めくくった。
自身の“2世”を置き土産に…
そんな真中ヤクルトの最終盤で台頭してきたのが、プロ2年目の24歳・山崎晃大朗である。
日本大学の出身で左投左打、俊足巧打の小柄な外野手。ドラフト指名時から“真中2世”として期待する声が多く挙がり、背番号も「31」が与えられた。
1年目は一軍出場こそ7試合に留まるものの、ニ軍では100試合に出場。38盗塁をマークして盗塁王のタイトルも獲得した。飛躍に期待がかかった今季も、4月に5試合出場したのみで以降は二軍暮らしが長くなったが、7月25日の昇格以降はチーム55試合中54試合に出場。1番や2番に入って経験を積んだ。
今季は246打席に立って打率は.242も、ヤクルトOBの若松勉氏は「バッティングが成長してきましたよね」と高評価。「まだレフト方向の打球が多いんですけど、引っ張れたら青木(宣親/現メッツ)選手みたいな打者になると思いますね」と来季以降のブレイクに大きな期待を寄せる。
また、持ち味である脚力も守備の際には随所に発揮できているものの、盗塁は6つで成功率.545とファーム盗塁王の看板からするとやや物足りない数字。打撃と同様、走塁面での課題も見つかった。
貴重な一軍での経験を糧に、3年目の飛躍へ…。 現役からコーチ・監督とヤクルト一筋で戦ってきた男の姿は見られなくなるものの、「31」を受け継いだ“真中2世”が神宮球場を駆け回る姿を楽しみにしたい。