連勝で2勝2敗のタイに戻したDeNA

◆ 勝ち上がりチームが奮闘

 クライマックスシリーズのファイナルステージもいよいよ大詰め。パ・リーグは王者・ソフトバンクがよもやの連敗スタートもその後2つ取り返し、アドバンテージを含む3勝2敗で突破に王手。セ・リーグはアドバンテージを含む2勝2敗のタイとなったところで、雨により2日連続の中止となっている。

 両リーグとも2位以下に10ゲーム以上の差をつける独走優勝となった今季。しかし、現在のところアドバンテージの1勝を除いた“実際の対戦成績”はパ・リーグも2勝2敗のタイであり、セ・リーグは2勝1敗でDeNAがリードとなる。本拠地で戦う地の利以上に、勝ち上がってきた3位チームに勢いがあるということだ。

 ちなみに、レギュラーシーズンの成績でも楽天はソフトバンクに対して12勝13敗。負け越しはしたが、シーズン94勝を挙げた相手にほぼ互角の成績を残しており、DeNAは広島に対して13勝12敗と勝ち越した。強い相手も苦にしなかった両チームが、この大舞台でも奮闘を見せている。

◆ 3位からの突破は2010年ロッテのみ

 そもそも今季のCSでは異例の事態が起きている。

 アドバンテージがなく、2戦先勝方式という超短期決戦であるファーストステージはとにかく初戦が重要。CSがはじまった2007年から昨季までの10年の歴史のなか、初戦を落としたチームがファイナルステージへ進出したのは、2009年の中日が唯一だった。

 確率にするとわずか5%…。ところが、今季のファーストステージはともに初戦を落としたDeNAと楽天が突破。過去の例からは考えにくい事態を引き起こした。

 そうなると、判官びいきの傾向が強い日本人として期待したくなるのは、DeNAと楽天のファイナルステージ突破。史上初のレギュラーシーズン3位同士による“下剋上シリーズ”だ。

 2008年からアドバンテージ制が採用されたファイナルステージは、当然レギュラーシーズンを制したチームが有利。シーズン1位のチームを破って日本シリーズ進出を果たしたチームは、アドバンテージ制がなかった2007年の中日(シーズン2位)を除けば、シーズン3位から日本一に上り詰めて“史上最大の下克上”と呼ばれた2010年のロッテと、一気の4連勝で巨人を下した2014年の阪神(シーズン2位)のみだ。

 DeNAと楽天がともに3位から日本シリーズへ進出するとなると、それこそ過去のデータを無視した異例中の異例といえる事態。すでに“今季を終えた”他球団ファンであっても、勢いに乗るDeNAと楽天の快進撃から目が離せない。

文=清家茂樹(せいけ・しげき)

【清家茂樹・プロフィール】 1975年、愛媛県生まれ。出版社勤務を経て2012年独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。野球好きが高じてニコニコ生放送『愛甲猛の激ヤバトーク 野良犬の穴』にも出演中。

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