驚きのトレード
11月11日、その知らせは突然届いた。
ソフトバンクと楽天のトレード合意。ソフトバンクは2010年のドラフト1位・山下斐紹を放出し、内野手の西田哲朗を獲得した。
西田も2009年のドラフト2位で入団した有望株。ともに高卒で将来のチームを引っ張る存在としての期待が高かっただけに、当該球団ファン以外にも大きな驚きが広がった。
想定外の連続
斐紹が入団した2010年のドラフトを振り返ってみると、まさに“想定外”の連続だった。指名選手は以下の通り。
【ソフトバンク・2010年ドラフト指名選手】
▼ 支配下
1位 山下斐紹(捕手/習志野高)→ トレード移籍(2017年)
2位 柳田悠岐(外野手/広島経済大)
3位 南 貴樹(投手/浦和学院高)→ 戦力外(2014年)
4位 星野大地(投手/岡山東商高)→ 戦力外(2017年)
5位 坂田将人(投手/祐誠高)→ 戦力外(2017年)
▼ 育成
1位 安田圭佑(外野手/四国IL・高知)→ 戦力外(2014年)
2位 中原大樹(内野手/鹿児島城西高)→ 戦力外(2014年)
3位 伊藤大智郎(投手/誉高)→ 戦力外(2017年)
4位 千賀滉大(投手/蒲郡高)
5位 牧原大成(内野手/城北高)
6位 甲斐拓也(捕手/楊志館高)
ご覧の通り、支配下指名は柳田以外の4名が7年で全員チームを離れ、育成も上位3名が戦力外に。ところが、育成の下位で獲得した3名はサバイバルに勝ち残り、分厚い選手層のなかで頭角を現している。
ドラフト当時は無名だった柳田が球界を代表するスター選手へとのしあがり、まったくの無名だった千賀も日本を代表する投手の一人になった。そしてチームにおける最下位指名だった甲斐も、1位指名の斐紹を抑えて正捕手の座を掴もうとしている。
ドラフト会議が終わると各球団の指名を採点する記事なども多く出るが、この状況を予想できた人はまずいないだろう。こうした例を見ると改めて『やってみないと分からない』というのを再認識させられる。
目玉の清宮幸太郎争奪戦を筆頭に、巨人の捕手大量指名など今年も様々な話題を呼んだドラフト会議だったが、本当の“勝ち組”はどのチームなのか…。数年後に振り返るのを楽しみにしたい。