通算打率.289、鯉屈指のバットマン
37年ぶりにリーグ連覇を達成した広島にあって、勝負強い打撃を披露した松山竜平。プロ生活10年、一度も規定打席をクリアしたことのない外野手ではあるが、通算打率.289が示す通り、打撃センスは赤ヘル軍団の中でもトップクラスだ。
今季は故障もあり春先こそ出遅れたが、復帰後は打棒が復活。骨折した鈴木誠也離脱後は、代役4番としてチームを支えた。シーズン114安打、打率.326、14本塁打、77打点は、いずれもキャリア最多。特に9月以降は打率.408、5本塁打、23打点と打ちまくり、月間MVP(9、10月部門)を初受賞した。
昨季まで左投手が先発のときはスタメンを外れるケースが多かったが、今季は対左投手に対し.373の高打率をマーク。これは同僚の鈴木(.350)、首位打者のDeNA・宮崎敏郎(.347)、パ・リーグ1位のソフトバンク・今宮健太(.355)をも上回る数字で、350打席以上を消化した選手の中では12球団トップだった。
かつては「左投手が苦手」と言われていたが、14年から16年まで、3シーズン合計の左投手打率は.313(64打数20安打)を記録。左腕への対応力は着実に上がっており、数字から苦手意識は見られない。
一方で、レギュラー外野手の丸佳浩、鈴木に比べ、守備、走塁のレベルが劣る。よって、試合終盤には代走、守備固めでゲームから退くケースが多く、この部分が規定打席到達への妨げとなっている。
オフの契約更改交渉では、2500万アップの年俸6500万(金額は推定)でサイン。今季の活躍度を鑑みるとアップ額がやや物足りないようにも思えるが、来季こそ“準レギュラー”から脱却し、初の規定打席到達を果たしてほしいところだ。