松坂大輔,
中日の入団テストに受験する松坂大輔

◆ 白球つれづれ~第43回・黄金世代の去就

 所用のため名古屋に出掛けた。近年、下位に低迷するオラがドラゴンズだが地元のファンのチームに対する愛情は変わらない。酒の席で来季の中日の話題になると必然的にある男の去就に及ぶ。

「本当に活躍できるのかね?」

「もし、復活出来たら救世主になるわな」

 松阪大輔。来年には38歳を迎える。11月に3年間在籍したソフトバンクからの退団を発表した。

 年俸実に4億円の破格待遇を受けながら、一軍登板は2016年のわずかに1度で、未勝利。メジャー時代に痛めた右肩、肘の完全回復は実現しなかった。球団側ではそれでも育成契約かコーチとして契約を結んでリハビリの継続を打診したが、本人は自由契約の道を選んだ。そんな松坂に救いの手を差し伸べたのが中日だ。

 形式的には来年1月の入団テストを経たうえで、としているがオーナーの白井文吾も入団をほぼ認めているうえに、球団では一足早く「松坂グッズ」の手配を始めたとか。

 監督の森繁和、投手コーチの友利結とは西武時代から親交があり、横浜高校時代にバッテリーを組んだ小山良男まで二軍コーチとしている。太い人脈に加えて、投手陣そのものが再建途上で一人でも上積みの期待できる戦力が欲しいお家事情もある。

 おそらく年俸は2000万円程度。これで復活でも遂げれば万々歳。話題性や関連グッズの売り上げ増を見込めばそろばん勘定も弾けるはずだ。

◆ 球界を席巻した世代も…

 松坂を中心とした「昭和55年会」が球界を席巻したのは2000年代の初頭から10年頃だろう。横浜高時代に甲子園の寵児として名を馳せた松阪が西武に入団すると、いきなり3年連続の最多勝に輝く。

 1980年から81年の早生まれのゴールデンエージが高卒、大卒、社会人などから次々にプロの門を叩く。現在でも活躍する選手では和田毅(ソフトバンク)、藤川球児(阪神)、杉内俊哉(巨人)、小谷野栄一(オリックス)らがいる。

 ちなみに同年代でプロ入りした選手は91人を数える。その大半はすでに球界を去っているが、彼らは常に「松阪世代」と呼ばれ「55年会」として野球教室やチャリティーマッチを開催するなど球界の一大勢力として君臨してきた。

 そんな黄金世代も30代後半に差し掛かる。弱肉強食は野球界の掟とは言え、このオフの北風はことさら厳しい。

 ようやく進路が見つかりそうな松阪以外では、新垣渚がヤクルトから戦力外通告を受けて、古巣・ソフトバンクの球団職員として再出発。広島で名バイプレーヤーとして鳴らした梵英心も自由契約。実松一成は巨人から日本ハムで再出発を誓う。

 杉内や館山昌平(ヤクルト)は近年、大幅な給与カットを余儀なくされている。中でも巨人を自由契約となった村田修一は未だに進路が決まらない。

◆ 2000安打を前に

 プロ通算打率は.269、1865安打に360本塁打、1123打点の実績は申し分ない。チームの再建と若返り策にあって巨人を去る形となったが、次の就職先はすぐにも見つかると思われてきた。ところが、意外な苦戦。その理由はいくつか指摘されている。

 「彼は2000本安打にこだわるあまり、レギュラーで出たい気持ちが強い。それが起用法によっては不満分子につながりかねない」という球界関係者もいれば、横浜時代の「お山の大将」の気質が敬遠されていると指摘する向きもある。

 12球団を見渡しても三塁手は充実しているチームが多く、若手育成に舵を切っているケースもある。最終的にはヤクルト、ロッテあたりが獲得に乗り出すのでは?という観測もあるが現状は予断を許さない。

 いずれも一時代を築いた強者たちだけに現役続行の気持ちは強い。大谷翔平がファンの祝福を受けてメジャーの道を歩み始める。清宮幸太郎が新人自主トレに顔を出す日も近い。残り少なくなった松阪世代の男たちはどんな形で新年を迎えるのか?老兵だってまだまだ死ぬわけにはいかない。

文=荒川和夫(あらかわ・かずお)

※この連載は本年最終回を迎えました。2018年は3月から再開いたします。

【荒川和夫・プロフィール】
1975年スポーツニッポン新聞社入社。野球担当として巨人、西武、ロッテ、横浜大洋(現DeNA)等を歴任。その後運動部長、編集局長、広告局長等を経て現在はスポーツライターとして活動中。

この記事を書いたのは

荒川和夫

1975年スポーツニッポン新聞社入社。野球担当として巨人、西武、ロッテ、横浜大洋(現DeNA)等を歴任。その後運動部長、編集局長、広告局長等を経て現在はスポーツライターとして活動中

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