◆ 物議を醸した“反則投球”問題
今年1月に行われた日本野球規則委員会において、2018年度の野球規則改正が発表された。なかでも目玉となったのが、いわゆる“2段モーション”を反則投球とすることを定めた『定義38』の【注】の削除。今季からは“2段モーション”が認められることになった。
昨年は西武の菊池雄星がシーズン途中に突然投球フォームを指摘され、物議を醸した“反則投球”問題。菊池は修正後も大崩れはせず、キャリア最多の16勝を挙げ最多勝のタイトルを獲得。防御率1.97で最優秀防御率にも輝いている。
シーズン途中にフォームの修正を強いられた菊池だが、「去年はそういうルールだったということ」と全く気にしていない様子。今季は「戻すというより、もう1回作り直すというか、新しいフォームという意識で」とオフから新たなフォームを模索している。
◆ 2018年は“フォームの変化”に注目?
思えば、かつても“反則投球”をめぐる問題はあった。2006年のルール改正でいわゆる“2段モーション”が禁止された時のことである。
かつて横浜の大黒柱として活躍した三浦大輔氏が代表的な1人だ。今年1月に右肘の手術を行ったというハマの番長は、その理由について「2段モーションの規則改正があったので(復帰しようと思って)」とジョークで笑いを誘っていた。
三浦は2005年に12勝9敗、防御率2.52という成績を残したが、モーションが規制された2006年は8勝12敗で負け越し。防御率も3.45と苦しんだ。それでも、徐々にフォームをアジャストしていき、2007年以降で計66勝をマーク。2016年まで現役を続けた。
ほかにも、岩隈久志も代表的な“2段モーション”の使い手だった。
2005年は創立初年度の楽天でエースとして奮闘。9勝15敗という力投を見せていたが、翌2006年に故障。フォーム修正にも時間を要し、わずか6試合の登板で1勝2敗と苦しんだ。
それでも、2008年には21勝4敗、防御率1.87という圧巻の成績で沢村賞を受賞。2012年からは戦いの場をメジャーリーグへと移し、昨季までに計63勝を挙げている。
このようにルール改正によりフォームの変更を強いられながら、それをひとつのキッカケとして一からフォームを見つめ直し、長く活躍したという例もある。今回は逆に“禁止→解禁”という違いはあるが、新たなフォームの模索に前向きな菊池も、この一件をさらなる飛躍の足がかりとすることができるだろうか。
また、菊池以外にも楽天の松井裕樹や阪神・岩貞祐太など、2段モーションの解禁を機に新フォームに取り組もうという動きが各地でちらほらと見受けられる。新シーズンは“投手のフォームの変化”に注目だ。