近鉄時代の中村紀洋(左)、タフィ・ローズ(右)(C)KYODO NEWS IMAGES

◆ 最強の長距離砲コンビは?

 プロ野球界で「常勝チーム」といえば、V9を果たした巨人が真っ先に思い浮かぶ。そして1980年代から90年代の西武もV9巨人に匹敵する黄金期を築いた。

 当時の巨人と西武には、2人の大打者が存在していたという共通点がある。巨人には王貞治と長嶋茂雄、西武には秋山幸二と清原和博という強打者がクリーンアップを務め、常に黄金期の中心にいた。

 では、プロ野球史で2人のチームメートによるシーズン最多本塁打記録はどちらのコンビが持っているのだろうか。実は、ON(王・長嶋)でもAK(秋山・清原)でもない。その記録は2001年に合わせて101本塁打を放った近鉄のローズ(55本)と中村紀洋(46本)が持っている。長いプロ野球史上で、チームメートの2人が合わせて100本塁打以上放ったのは、2001年のローズ・中村だけだ。

 昨季12球団で最も多く本塁打を放ったコンビは日本一に輝いたソフトバンクのデスパイネ(35本)と柳田悠岐(31本)。合計66本のアーチを描いた。セ・リーグではDeNAのロペス(30本)と筒香嘉智(28本)の58本が最多だった。シーズン結果からも、やはり長距離砲を2人そろえたチームは強いということだろうか。

◆ 今年期待の長距離砲コンビ

 今季もソフトバンクとDeNAのコンビが本塁打を量産する可能性は高いが、他のチームにも注目の長距離コンビがいる。セ・パ両リーグから1組ずつ紹介したい。

 セ・リーグでは、昨季リーグ最少の95本塁打に終わったヤクルトから山田哲人とバレンティンの復活に期待したい。山田は昨季、開幕から大不振に陥り、低空飛行が続いた。しかし、夏場以降に持ち直し、シーズン24本塁打と何とか体裁は保った。チームメートのバレンティンは、シーズン本塁打の日本記録保持者。カリブの大砲は、毎年のようにケガに悩まされているが、日本での7シーズンで30本塁打以上を6度記録している。実績も十分のこの2人が万全なら、合わせて70~80本塁打も可能だろう。

 パ・リーグからはオリックスの外国人2人の破壊力に注目だ。ロメロは昨季103試合で26本塁打、途中加入のマレーロが82試合で20本塁打と来日1年目から日本の野球に順応した。もし、今季そろってフル出場できれば、こちらも70~80本塁打程度打っても不思議ではない。

 さらにオリックスにはT-岡田、吉田正尚という和製大砲も2人控えている。ロメロ、マレーロも含め、4人がそれぞれ、シーズン30~40本打てるパワーを秘めている。

 他にも巨人の「ゲレーロ・坂本」、広島の「鈴木・丸」、西武の「中村・山川」などのコンビにも期待したい。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊・プロフィール】 1976年、和歌山県出身。大学卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。日本にファンタジーベースボールを流行らせたいという構想を持ち続けている。

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