◆ ア・リーグ東地区の2強
メジャーリーグは、開幕を約3週間後に控え、現地でも大谷翔平(エンゼルス)への注目度が高まっている。そして、同じア・リーグでは、東地区の“あの2チーム”への注目度も上昇中だ。
1990年代以降、ア・リーグ東地区は、長らくヤンキースとレッドソックスの2強時代が続いた。ストライキ明けの1995年から2009年までの15シーズンが特に顕著で、両チームがワンツー(地区1位、2位)を決めた回数は実に11度にも上る。その後、7シーズンにわたりワンツーフィニッシュがなかったが、昨季はレッドソックスが地区優勝。ヤンキースが2ゲーム差の2位に入り、8年ぶりのワンツーフィニッシュを果たし、そろってポストシーズンにも進出した。
思い返せば、2014年にそろってポストシーズン進出を逃したが、これは現在の各リーグ3地区制になった1994年以降では初めてのことだった。とはいえ、両チームとも決して低迷しているわけではなく、ヤンキースは1993年から25年連続でシーズン勝ち越しを継続中。レッドソックスも過去5年で3度の地区優勝を果たしている。
そして迎える2018年。ヤンキースはマーリンズからジャンカルロ・スタントンを獲得し、アーロン・ジャッジとの50本塁打コンビが誕生。投手陣では、昨季14勝を挙げたCCサバシアとの再契約に成功した。野手を中心に若手も順調に育っており、6年ぶりの地区制覇へ視界は良好だ。
一方のレッドソックスも、昨季45本塁打を放ったJ.D.マルティネスをFAで獲得。昨季のチーム本塁打数はア・リーグで最少だったが、マルティネスの加入で今季は得点力の大幅アップが見込めそうだ。そしてヤンキースと同じように野手陣は世代交代も進んでおり、ムーキー・ベッツやアンドルー・ベニンテンディといった20代前半の野手がチームの中心メンバーになりつつある。
両チームとも投手陣には不安が残るが、打線の破壊力はリーグ屈指と言っていいだろう。今季のア・リーグは2年連続世界一を狙うアストロズが大本命だが、ヤンキースとレッドソックスがそれに続く存在と目される。
いつの間にか若返りにも成功した両チーム。2018年はともに新監督が指揮を執る。ヤンキースのアーロン・ブーン新監督はコーチ経験すらなく、レッドソックスのアレックス・コーラ新監督もコーチ経験が1年あるだけと指揮官としては未知数。2人の手腕もこの地区の優勝争いを左右するかもしれない。
果たしてア・リーグ東地区は前評判に違わぬ熱い2強の戦いになるのだろうか。それとも割って入るチームは出てくるのだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)