◆ オープン戦最優秀防御率投手のその後…
開幕まで20日を切り、各球団ともに戦力の最終チェックを行う時期に差し掛かってきた。
本番が近づくに連れて主力投手たちの出番も増えてきており、侍ジャパン強化試合でも快投を見せた楽天・則本昂大や、昨季大ブレイクを果たした阪神・秋山拓巳、初の開幕投手を目指す中日・小笠原慎之介といったところが好投を見せている。
ただし、この時期よく聞かれる言葉が「オープン戦の成績はあてにならない」というもの。昨日は「オープン戦の順位はあてにならない」という説を検証してみたが、今回は“個人”の活躍に注目。まずは投手編ということで、近年のオープン戦防御率1位投手のその後について調べてみた。
◆ ここ2年は順調
昨シーズン、オープン戦で快投を見せたのは田口麗斗(巨人)だった。
計4試合に登板し、防御率は0.90を記録。シーズン開幕後も開幕2戦目の先発を任されると、自己最多となる13勝をマーク。菅野智之、マイコラスらと3本柱を形成し、チームを支えた。オープン戦の好投から、シーズンもいい形で過ごせた好例と言えるだろう。
その前、2016年は和田毅(ソフトバンク)が防御率0.00と圧巻の成績を残している。
5年ぶりの日本球界復帰となったシーズンだったが、春先からブランクを感じさせない見事な投球を披露。開幕2カード目の初戦で敗戦投手となったものの、その後は安定した投球を見せて15勝(5敗)をマーク。復帰元年にいきなり最多勝と最高勝率のタイトルを手にした。
◆ それ以前は…
ここ2年を見るとオープン戦の活躍そのままにシーズンでも活躍を見せているが、実はそれ以前はうまく行かない年が続いていた。
たとえば2015年は当時西武に所属していた野上亮磨。一軍で8勝、11勝、8勝と来て迎えた2015年のオープン戦で防御率0.82という好投を見せ、さらなる飛躍に大きな期待がかかるも、シーズンでは7勝(7敗)止まり。殻を破ることはできなかった。
その前の年も西武から、新助っ人のレイノルズが防御率0.53という好投を見せるも、シーズンでは3勝7敗で防御率5.46と低迷。期待を裏切る結果に終わっている。
2013年は開幕前に第3回WBCが開催されたこともあり、各球団エース級が不在の中で行われたオープン戦。ここで好投した巨人の宮国椋丞は、WBCに参戦していた内海哲也に代わって開幕投手に抜擢されるも、シーズンを通して6勝7敗、防御率4.93という成績に終わった。
振り返ってみると、たしかに「あてにならない」と言われるのも分かる結果となっていたが、興味深いのはここ2年続けてその説を覆す結果となっていることだ。
今年もオープン戦で活躍した投手がシーズンでも活躍を見せるのか、はたまた苦しむ傾向に戻るのか。今年の結果に注目が集まる。
◆ 近年のオープン戦最優秀防御率投手
※規定投球回(チーム試合数×1.0)以上
▼ 2017年
0.90 田口麗斗(巨人)
[シーズン成績] 26試(170.2回) 13勝4敗 奪三122 防3.01
▼ 2016年
0.00 和田 毅(ソフトバンク)
[シーズン成績] 24試(163.0回) 15勝5敗 奪三157 防3.04
▼ 2015年
0.82 野上亮磨(西武)
[シーズン成績] 27試(134.1回) 7勝7敗 奪三77 防4.22
▼ 2014年
0.53 レイノルズ(西武)
[シーズン成績] 12試(61.0回) 3勝7敗 奪三29 防5.46
▼ 2013年
0.47 宮国椋丞(巨人)
[シーズン成績] 17試(87.2回) 6勝7敗 奪三50 防4.93
▼ 2012年
0.00 国吉佑樹(DeNA)
[シーズン成績] 19試(112.2回) 4勝12敗 奪三95 防3.67
▼ 2011年
0.00 久保康友(阪神)
[シーズン成績] 20試(109.2回) 8勝8敗 奪三73 防3.78
0.00 戸村健次(楽天)
[シーズン成績] 8試(41.1回) 0勝3敗 奪三26 防3.92
0.00 田中将大(楽天)
[シーズン成績] 27試(226.1回) 19勝5敗 奪三241 防1.27
▼ 2010年
0.43 石川雅規(ヤクルト)
[シーズン成績] 28試(186.1回) 13勝8敗 奪三98 防3.53
▼ 2009年
2.57 清水直行(ロッテ)
[シーズン成績] 23試(144.2回) 6勝7敗 奪三88 防4.42
▼ 2008年
0.00 岩田稔(阪神)
[シーズン成績] 27試(159.1回) 10勝10敗 奪三101 防3.28