自慢の先発陣に離脱者が続出
ラミレス体制3年目の今季、20年ぶりのリーグ制覇へ期待が高まっているDeNA。特に近年のドラフト上位で指名した大卒投手たちが軒並み力を発揮し、若い投手たちによる競争が激化した結果、他球団が羨むほどの先発投手陣の陣容を形成。キャンプから熾烈なアピール合戦が続いていた。
ところが、開幕まで2週間を切ったこの時期に緊急事態が発生。昨年の勝ち頭・今永昇太が左肩の不安でオープン戦の登板を回避。このあとの予定も白紙となってしまった。
その前には昨年10勝(2敗)をマークしたジョー・ウィーランドも右肘痛で離脱しており、3月に入ってから登板がない状態。さらに新人ながら2ケタ・10勝(6敗)を挙げた左腕の浜口遥大も戦列を離れている状態だ。
昨年はこの3人で計31勝を稼ぎ出しており、首脳陣は当然ある程度の勝ち星を計算していたことだろう。開幕には間に合うのか、遅れるとしたらどれだけ遅れることになるのか…。開幕を前に思わぬ頭痛の種が浮上してきた。
ドラ1ルーキーと“当落線上”の男
ところが、この状況を“チャンス”という捉えることができるのも、いまのDeNAの強みだ。
例えば、ドラフト1位左腕の東克樹。立命館大から“大学No.1左腕”の看板を引っさげてプロ入りした22歳は、ここまでオープン戦で2試合・7回1/3を投げて無失点。イニング数を上回る9つの奪三振を記録するなど、良いアピールを続けている。
「左腕王国」への期待が叫ばれるチームの中、このオープン戦で猛アピールを見せているのが、高卒4年目右腕の飯塚悟史だ。
先発陣に不安が広がり、誰もが救世主を求めるところで迎えた18日のオリックス戦。先発した21歳は6回を投げて83球、無四球の3安打、4奪三振で1失点。見事に試合を作り、勝利投手となった。
この飯塚も、オープン戦は2試合・11回を投げて防御率0.82と安定感抜群の投球を披露。当初は開幕ローテ“当落線上”の男だったが、チームを救う存在になるかもしれない。
まだまだ出てくる若い力
また、ここに来て注目を集めているのが高卒2年目の京山将弥。
17日のイースタン・リーグ開幕戦では、ロッテを相手に5回を6安打・6四球で4失点と制球を乱してしまったが、6日のオープン戦・阪神戦で見せた5回2安打無失点の好投は大きなインパクトを残した。もし離脱者の回復が遅れるようならば、序盤で一軍デビューのチャンスが巡ってきても不思議ではない。
その他にも、ここまでのオープン戦でチーム最多の3試合に先発している熊原健人をはじめ、独立リーグからNPB復帰を果たしたエディソン・バリオス、さらには昨季プロ初勝利を挙げている綾部翔や平良拳太郎といった若き力が控えている。ピンチをチャンスに変える材料は揃っているのだ。
この苦境を乗り越え、20年ぶりの悲願へ向けたスタートダッシュを決めることができるか。若き力を操るラミレス監督の手腕に注目が集まる。