先発陣は5回まで!?
ベイスターズで今季、これまでに先発で起用されたピッチャーは計10人。大卒ルーキー東克樹、4年目の飯塚悟史、2年目の京山将弥、昨年人的補償で入団した平良拳太郎の“U-22カルテット”と、故障で出遅れていた昨年の「二桁勝利トリオ」、ウィーランド、今永昇太、濱口遥大に、開幕投手の石田健大とBCリーグからNPBに復帰したバリオス、5年目にして初先発を経験した平田真吾という面々だ。
彼らは、概ね試合を作る事は出来ているが、投球回数が少ない。もちろんラミレス監督の100球前後で交代させるポリシーもあるが、この中で完投を記録したのはルーキー東の1回だけ。投球回数のベスト10ランキングでも、東が唯一9位に入っているのみだ。
【DeNA先発陣の登板数】
・石田健大:7試合(4.3回)
・京山将弥:6試合(4.7回)
・飯塚悟史:6試合(5.3回)
・ウィーランド:4試合(5.8回)
・バリオス:4試合(4.8回)
・今永昇太:2試合(4.5回)
・浜口遥大:2試合(4.5回)
・平良拳太郎:1試合(5回1/3)
・平田真吾:1試合(5回)
※()内は平均投球回数
※登板数が1試合の投手は投球回数
40試合を消化した5月22日終了時点で、先発陣の防御率3.60。悪い数字ではないものの、平均投球回数はリーグワースト2位の「5.4イニングス」と6回に届いていない。要するに、6回、7回、8回、試合展開によっては9回を中継ぎ陣でまかなうことになる。
【先発陣の平均投球回数】
広 島:6.1回(42戦21勝9敗) 防3.62
中 日:6.1回(43戦13勝18敗)防3.63
巨 人:6.0回(43戦20勝15敗)防3.88
阪 神:6.0回(40戦17勝15敗)防3.42
DeNA:5.4回(40戦12勝16敗)防3.60
ヤクルト:5.3回(40戦8勝19敗) 防4.91
“マシンガン”リリーバー
先発陣が早い回でマウンドを降りると、必然的にブルペン陣の登板回数も増えていく。以下が主な中継ぎ陣の今季の登板数と投球回数だ。
【主な救援陣の登板数と防御率】
エスコバー:24試合(23回1/3)防御率1.16
砂田毅樹 :21試合(17回)防御率3.18
三上朋也 :19試合(18回)防御率2.00
三嶋一輝 :16試合(23回)防御率2.35
井納翔一 :17試合(17回2/3)防御率4.08
パットン :15試合(13回1/3)防御率4.73
ここに挙げた6投手は、かなりのハイペースで登板を重ねている。実際、セ・リーグの登板回数ランクトップ5には、エスコバー(1位)、砂田(2位)、三上(5位)が名を連ねている。DeNAの消化試合数が40試合であることを考えると、ほぼ2試合に1回は登板している計算だ。
当初の算段では、7回=井納、8回=パットン、9回=山崎康晃だったが、最近は方程式に関係なく、良く言えば臨機応変に、悪く言えばスクランブルでの登板が見受けられる。勝利の方程式は、今や単純な一次方程式ではなく、複雑な連立方程式になっているかのようだ。
ラミレス監督はここまで、1回を一人の選手に託すというよりも、状況や展開に応じて、回跨ぎをさせることもあれば、回途中からの登板やワンポイントで起用など、五月雨式の“マシンガン継投”を見せることが比較的多い。リリーフ陣の頑張りと、マシンガン継投の成果もあってか、DeNAの救援陣の防御率はセ・リーグトップの3.01。前述の6人に限ると、防御率は2点台になる。
【救援陣の防御率と投球回数】
DeNA:防3.01 143回1/3(7勝3敗)
阪 神:防3.45 114回2/3(2勝6敗)
広 島:防3.46 119回2/3(5勝6敗)
ヤクルト:防3.86 142回1/3(7勝5敗)
巨 人:防4.17 121回 (2勝5敗)
中 日:防5.04 114回1/3(7勝4敗)
ブルペン陣はみな「チームのために」と口を揃える。もちろんチーム全員が持っている共通意識ではあるが、昨年の“二桁トリオ”を開幕から欠く中でチームが3位に位置しているのは、“U-22カルテット”の活躍だけでなく、普段は陰に隠れがちなリリーフ陣の奮闘によるところも大きい。彼らは、今日も明日も明後日も、指揮官の“マシンガン継投”に備え、ブルペンで肩を作っている。
取材・文 =萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)