オープン戦は絶不調も…
ロッテの新外国人マット・ドミンゲスの勢いが止まらない。
直近5試合で4本の本塁打を放ち、今季6号は井上晴哉を抜いてチームトップに浮上。オープン戦では打率.158、本塁打と打点はともにゼロと苦しんだ男がついにその能力を完全に解放しつつある。
昨季こそメジャーでのプレーはなかったものの、2013年には21本塁打、2014年も16本塁打を放った実績のあるスラッガー。日本への対応には苦しんだものの、二軍では5月の上旬までに30試合に出場。腐ることなくアピールを続け、打率.252、5本塁打、24打点という成績を残して5月5日に一軍昇格を果たす。
打線の起爆剤として期待がかかっていたが、一軍ではオープン戦と同様なかなか当たりが出ず。4試合目の5月11日・西武戦で来日初安打・初本塁打を放ったものの、以降はスタメンから外れる機会も増えた。
そんな中、風向きが変わったのは5月19日のソフトバンク戦。終盤に代打で出場すると、田中正義から代打弾を放って存在感をアピール。すると、24日の日本ハム戦では、追い詰められた9回に代打で登場してマイケル・トンキンから値千金の同点弾。一振りで試合を振り出しに戻すと、勝ち越された直後の延長11回には二死二塁のチャンスでセンターへの適時二塁打。2度の土壇場同点打でチームを敗北の危機から救い、その後のサヨナラ勝ちへと導いた。
以降も5月26日のオリックス戦では2本の本塁打を放って計3打点。翌27日の試合でも同点弾を放つなど、打率も3割ちょうどまで上昇。6本塁打で13打点と、これまでの不振が嘘のように打ちまくっている。
レアードのように…
このドミンゲスの暴れっぷりを見ていると、3年前のブランドン・レアード(日本ハム)を思い出す。
大きな期待を受けてやって来たレアードだったが、序盤から打撃の方でなかなか調子が上がらず。本塁打はおろか安打もなかなか出ない状態で、打率も1割台と苦しんでいた。
ところが、チームを率いる栗山英樹監督は辛抱しながらレアードを起用し続けると、後半戦に入って突然の大爆発。最終的には打率.231、34本塁打、97打点という成績を残し、契約延長を掴む。すると、その翌年には39本塁打で本塁打王に輝き、チームのリーグ制覇に貢献。日本シリーズではMVPに輝く活躍を見せた。本人の明るいキャラクターもあって、今やチームの顔となっている。
レアードのブレイクの陰には、間違いなく栗山監督の“我慢の起用”があった。一方で井口資仁監督は昇格後もスタメンに固定することなく、状態や勝負どころを見極めながらの起用となっているものの、これが1打席への執念であったり、必死さを引き出しているという見方もある。
近年は特に打線の迫力不足に悩まされてきたロッテだけに、彗星のごとく現れて打ちまくっているドミンゲスに対しては救世主としての期待も大きい。この勢いを持続させ、レアードのようにチームに欠かせない存在となることができるか。ロッテの背番号42に注目だ。