◆ 巨人のドラ1、ついにデビューへ
巨人のドラフト1位ルーキー・鍬原拓也が31日の日本ハム戦でプロ初登板・初先発のマウンドに登る。
北陸高から中央大を経て、昨年10月のドラフト会議で巨人から1位指名を受けた本格派右腕。厳密に言えば清宮幸太郎(日本ハム)、村上宗隆(ヤクルト)を抽選で外した後の“外れの外れ”1位ではあるが、150キロを超える力強いまっすぐを武器に大学時代は通算165イニングで157奪三振をマークするなど、即戦力のローテーション候補として期待がかかっていた。
ところが、年明けの自主トレで上半身のコンディション不良が発覚して早々に離脱。大事には至らずも、キャンプは三軍スタートとなり、1年目から慎重なスタートを切ることになる。
一気に不安は広がったが、チームには“良い例”があった。出だしでつまずいたものの、出遅れを後半戦で見事に巻き返してみせた男といえば、昨年の畠世周である。
大卒・ドラフト2位入団の右腕はドラフト直後の手術で前半戦を棒に振るも、後半戦で先発ローテに加わると6勝(4敗)をマーク。最終的にAクラス入りはならなかったが、チームの反撃の原動力となった。
そんなこともあって、鍬原に関しても「畠のように後半戦を目指して」という見方が少なくなかったが、周囲の声に反するように本人の状態はぐんぐんと回復。2月の時点でブルペン投球が行えるようにもなり、4月19日のロッテ戦でついに実戦デビュー。初回に連打や自らの失策などで3点を失う苦しい立ち上がりとなるが、その後は立ち直って4回1/3を4失点(自責2)でまとめ、三振も7つ奪った。
以降はローテーションを守り、徐々にイニングを伸ばしながら好投を披露。5試合の登板で2勝2敗、26回と1/3を投げて奪った三振は37個。防御率2.39という好投で、ついに一軍の切符を手にする。
チームは大黒柱・菅野智之がここまで5勝を挙げて今季も先発陣を引っ張っているものの、4勝で続く野上亮磨は防御率5.07と安定感に欠ける投球が目立ち、5月30日に登録抹消となった。同じく4勝の山口俊、3勝の吉川光夫も良い時と悪い時の差が激しく、投げてみないと分からないという部分が多い。
加えて昨季ローテーションの柱として奮闘していた若き左腕・田口麗斗が絶不調。ここまで2勝3敗、防御率は5.06とらしくない投球が続いており、かなり苦しい台所事情を強いられている。それだけに、ついにデビューを果たすドラ1ルーキーにかかる期待も当然大きくなっていく。
昨年の畠のように、デビューからローテーションに定着してチームを救うことができるか。ついにベールを脱ぐ巨人の背番号29に注目だ。