ホセ・アルテューベ

◆ 好調アストロズを牽引

 連覇を狙うアストロズが好調だ。6月の月間成績は、19勝6敗。王者の名にふさわしい戦いぶりを見せ、必死に食らいつくマリナーズを引き離そうとしている。

 アストロズ打線の中心を担うのが、3番を打つホセ・アルテューベ。リーグMVPに輝いた昨季に比べて長打は減っているものの、ここまでの打率は昨季とほぼ同じ.345という安定感を見せている。

 チームは83試合を消化。シーズンの折り返し地点を過ぎ、アルテューベが積み重ねた安打数は112に上る。ケガさえなければ、5年連続200安打は堅そうだ。

 身長168センチと小柄ながら、これまで一度も故障者リスト入りしたことがないアルテューベ。5月に28歳になったばかりと、肉体的にも選手としてのピークを迎えていると言っていいだろう。

 イチローが10年連続200安打をスタートさせたのが、渡米1年目の27歳シーズン。年齢的にも、アルテューベがイチローの大記録に近づく可能性を感じさせてくれる唯一の選手と言っては言い過ぎだろうか。

◆ 「イチロー超え」への挑戦

 そんなアルテューベに狙ってほしい記録が「10年連続200安打」以外にもある。それが「シーズン打率3割4分超えの回数」だ。

 アルテューベは2014年と2017年の2度、打率.340以上をマークしている。現役野手で.340超えを複数回達成したことがあるのは、イチローとアルテューベ以外にミゲル・カブレラ(タイガース)、ジョー・マウアー(ツインズ)、そしてアルバート・プホルス(エンゼルス)の3人。アルテューベは、ヒットメーカーとして、幾つものタイトルを獲得してきた偉大な打者たちにすでに並んでいる。

 ちなみに、この5人の中ではイチローが唯一、打率.340以上を4回も達成しているが、他の4人は2回ずつ。さらにイチローの4回はすべて.350超えという点も付け加えておきたい。ただし、そんなイチローでさえも、2年連続の“大台超え”は未経験。今季のアルテューベには、イチローも成し得なかった2年連続の打率.340超えに期待がかかる。

 果たして、アルテューベは10年連続200安打に向けて無事折り返し地点を迎えることはできるのだろうか。そして今季も高い打率を維持できるのか。どちらにしても、アストロズの2年連続世界一に、アルテューベの活躍は欠かせない。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊・プロフィール】 1976年、和歌山県出身。大学卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。日本にファンタジーベースボールを流行らせたいという構想を持ち続けている。

この記事を書いたのは

八木遊

八木遊 の記事をもっと見る

もっと読む