球団30年ぶりのデビュー3戦3勝
「ええ投手やなぁ」。敵軍の打撃コーチも思わず唸ってしまうような好投を見せたのが、17日に先発した巨人のテイラー・ヤングマンだ。
2メートル近い長身から投げ下ろされるムービングファストと大きなカーブを武器に、7回まで10奪三振で2失点の好投。4回には二死満塁のチャンスで来日初安打となる2点適時打も放つ活躍で、来日初登板となった7月1日の中日戦から3戦3勝とした。
巨人の外国人投手によるデビュー3戦3勝は、1988年のビル・ガリクソン以来で30年ぶりという快挙。チームも連勝を6に伸ばし、5月25日以来となる貯金「1」。2位以下の大混戦から抜け出し、首位・広島追撃の1番手となりつつある。
ローテーションの柱の一人だったマイルズ・マイコラスが退団となり、その代役候補としてやってきたヤングマン。2011年のドラフトでブリュワーズから1巡目(全体では12巡目)で指名された経歴を持っていたが、メジャーではデビューした2015年に9勝(8敗)を挙げる活躍を見せるも、それ以降は未勝利。今年の1月に自由契約となると、巨人からのオファーを受けて日本へとやってきた。
ところが、オープン戦では2試合に登板して勝ち負けなしも、防御率は7.00と調整不足を露呈。開幕二軍スタートとなると、その後はガッチリと固まった一軍の外国人枠に割って入ることができず、二軍暮らしの日々が続く。
それでも右腕は腐らなかった。ファームでは12試合の登板で7勝2敗、防御率1.43と格の違いを見せつけると、ピリッとしない内容が目立ったアルキメデス・カミネロに代わって待望の一軍昇格。初登板となった7月1日の中日戦で8回3安打無失点の快投を見せると、そこから3戦3勝の活躍で一気にローテーションの一角を掴んだ。
育成から這い上がった左腕
上述の通り、マイコラスという大きな穴が空いた状態で迎えた2018年。大黒柱の菅野智之は健在も、菅野やマイコラスとともに3本柱を形成していた左腕の田口麗斗がまさかの絶不調。FAで獲得した野上亮磨もローテ定着とはならず、課題の先発陣が見立て通りの苦戦を強いられていた。
そんな中、彗星のごとく現れたヤングマンに続いて、救世主候補がもうひとり現れた。左腕のC.C.メルセデスである。
育成出身の24歳は7月9日に支配下登録を勝ち取ると、翌10日のヤクルト戦で初登板・初先発。5回を無失点に抑える力投で、いきなり初勝利を挙げた。
育成出身投手のプロ初登板・初先発・初勝利はプロ野球史上初という快挙。ドミニカからやってきた若き左腕は試合後、帽子を取って「アリガトウゴザイマス」の“日本式”あいさつを披露してファンを沸かせた。
弱点だった先発ローテーションに、ふいに差し込んできた光。前半戦で出番のなかった2人は、“新戦力”として後半戦のチームを逆襲へと導くことができるか。好調・巨人に現れた2人の新星、ヤングマンとメルセデスの今後に注目だ。