◆ ナ・リーグ138年ぶりの快挙も…!?
1990年代から2000年代にかけて、黄金時代を築いたアトランタ・ブレーブス。グレグ・マダックス、トム・グラビン、ジョン・スモルツらを中心とした圧倒的な投手力で1991年から2005年まで地区14連覇を達成した(1994年はストライキのためカウントしない)。
2006年以降は地区優勝が1度(2013年)しかなく、ここ4シーズンはいずれも負け越すなど再建モードに入っていたチームだったが、今季は開幕からフィラデルフィア・フィリーズと激しい首位争いを演じている。
開幕前はワシントン・ナショナルズが大本命に目されていたナ・リーグ東地区。ブレーブスはワイルドカード争いがやっとと見られていた。しかし、開幕後は一度も勝率5割を下回ることなく躍進。その要因が若手と中堅が融合した強力打線だ。
1試合の平均得点(4.90)はカブスに次ぐナ・リーグ2位。本塁打数は同6位タイながら二塁打が多く、長打率はナ・リーグトップの数字となっている。
上位打線は、ロナルド・アクーナ(20歳)とオザイーノ・アルビース(21歳)の若い1・2番コンビ、そして実績豊富なフレディ・フリーマン(28歳)とニック・マーケーキス(34歳)らが担う。個人打撃タイトル争いを見ても、フリーマンが打率.323で首位打者争いをリード。マーケーキスが僅差の.321で続く。
安打数を見ても、150安打のマーケーキスを筆頭に、149安打でフリーマン、135安打のアルビースまで上位3位までをブレーブスの選手が占めている(アルビースは3位タイ)。もしシーズンを終えて、ブレーブスの3選手が安打数部門で3位までを占めることになれば、メジャーで36年ぶりの快挙となる。
最後に達成したのは、1982年のミルウォーキー・ブリュワーズ(当時はア・リーグ所属)。安打数3位までの顔ぶれは、ロビン・ヨーント(210安打)、セシル・クーパー(205安打)、そしてポール・モリター(201安打)。いずれも200安打を超えていた。
ヨーントとモリターはいずれも資格初年度で殿堂入りを果たした名選手。クーパーも通算2192安打に加え、2度の打点王に輝いた名選手だった。またこの年のブリュワーズはフランチャイズ史上唯一のワールドシリーズにも出場している。
このブリュワーズよりも前はというと、1938年のボストン・レッドソックスまでさかのぼる。それ以外には1908年と1915年のデトロイト・タイガース、1876年と1880年のシカゴ・カブスの合計6回しかない。今季のブレーブスがこの大記録を達成すれば、ナ・リーグでは1880年のカブス以来、138年ぶりということになる。
果たしてブレーブスはメジャー7度目の快挙を達成できるのか。そしてブレーブスに再び黄金時代はやってくるのだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)