先発転向から3カ月で6勝
鷹の快進撃を止めたのは、先発に転向してまだ3カ月の右腕だった。
9連勝と勢いに乗るソフトバンクのホームに乗り込んだロッテ。先発した有吉優樹は初回に1点を失ったものの、以降は走者を背負いながらも得点は許さない粘りの投球を披露。7回まで1失点の好投を見せると、味方打線が4回に追いつき、8回についに逆転。2-1で競り勝ち、有吉に6勝目がついた。
有吉はプロ2年目の27歳。ルーキーイヤーの昨季は中継ぎとして53試合に登板するなどフル回転の活躍を見せ、今季も開幕からしばらくの間は中継ぎとして起用されていたものの、5月23日の日本ハム戦から先発に転向。そこから約3カ月の間に11試合に登板すると、半数を超える6勝(2敗)をマーク。防御率も2.64と安定した投球でチームを支えている。
後半戦に入り、チームの先発陣は危機を迎えていた。7月までに9勝を挙げた石川歩と、8月頭までに13勝を挙げて今なおハーラーダービー単独トップに君臨しているマイク・ボルシンガーが相次いで離脱。エースの涌井秀章も8月に入って二軍落ちとなっており、ローテーションの軸を担う3人が同時にいなくなったのだ。
そんな中、配置転換から救世主が登場。有吉をはじめ、前半戦になかった“新たな3本の矢”が形成されつつある。
エース級の投球を見せる二木
有吉に負けじと後半戦のチームを支えているのが、高卒5年目の二木康太である。
なかなか勝ち運に恵まれず、ここまで10試合の登板で3勝4敗と勝ち負けは物足りない数字となっているものの、防御率は2.27という抜群の安定感を誇る。ここ4試合は1勝2敗も、いずれも7回以上投げて自責点は2以下。唯一の勝利は8月17日の楽天戦。9回を投げて被安打わずかに2。与四球3つ、6奪三振で無失点。嬉しいプロ初完封勝利を挙げた。期間中の防御率は驚異の1.35。エース級の投球内容を続けているのだ。
さらに、29日に先発が予定されている新助っ人のタナー・シェッパーズも面白い存在となっている。
来日からリリーフで起用されていたものの結果が残せず、二軍降格後もリリーフで調整を続けていたが、7月に入って先発に転向。ファームで3勝を挙げると、離脱者が相次いだこともあって一軍から声がかかった。
すると、初先発となった西武戦では7回途中4失点。黒星こそ喫したものの、初先発ながら強力・西武打線を相手に6回までは2失点と試合を作っていた点は評価すべきところだろう。2度目の先発も勢いに乗るソフトバンク相手と難敵になるが、果たして結果を残すことができるだろうか。
8月上旬までは勝率5割近辺でソフトバンクやオリックスと3位の座を争っていたチームも、現在は借金4の4位。3位・日本ハムとの差は「6.5」とクライマックスシリーズ進出に向けて後がない状況となった。
しかし、諦めるのはまだ早い。勢いに乗ったソフトバンクが急浮上していったように、連勝・連敗で大きく戦況は変わる。有吉や二木が奮闘を見せる先発陣に離脱者が戻ってくれば、一気に差し切る可能性もあるだろう。
まさに今が正念場。大逆転でのクライマックスシリーズ進出を目指すロッテの先発陣に注目だ。