「今はスッキリ」
オリックスの小谷野栄一内野手は27日、今季限りでの現役引退することを表明。同日午後、京セラドーム大阪で記者会見を行った。
会見前にはオリックス・日本ハムの両ベンチを訪ね、福良淳一監督と栗山英樹監督をはじめ、コーチ、スタッフ、マスコミ陣に挨拶回り。同級生の松坂大輔には昨夜電話で「引退するわ」と伝えたところ、「まだヒット打ってないじゃん」と笑って返されたそうだが、最後は労いの言葉をかけてもらったそうで、「松坂世代と呼ばれる選手になれたことを誇りに思うし、マツが引っ張ってくれたから、これまで頑張ってこれたので、ありがとうと言いました」と感謝の気持ちを伝えたと語っていた。
「小谷野栄一は今シーズン限りで現役生活を終えることになりました。ここまで来れたのも皆さんのおかげです。16年間ありがとうございました」という挨拶から始まった会見。
つづいて「自分の中で引退という言葉は考えてなかったんですけど、今はスッキリしていますし、次へのスタートへの引退なのかなと思います」と切り出すと、引退を考えた時期に関しては「オリックスに移籍してきてから2年目までは怪我で、去年やっと少し活躍できたんですけど、いつも覚悟を持ってやってきてたんですね。今年1回目に抹消される前から自分の中で動きというのが…心と体のバランスが今までにないぐらい感じてきたなというのはありました」と述べる。
恩師を想い涙する場面も…
しかし、恩師とも言える福良淳一監督を男にできなかったことには悔いが残っているようで、涙を浮かべる場面も。
「(日本ハム時代)福良さんは一番大変だったときに近くにいてくれた。病気で苦しんでいた自分に『何分でもいいから』という言葉をかけて、何度もタイムをかけてくれた。あの言葉がなかったら今の自分はない。きょうも時間を作ってくれて『よくやった』と言ってくれましたし、僕も福良さんみたいな人になりたい。人に対してああいう存在になりたいですね」と恩師に対して改めて感謝の言葉と尊敬の念を口にする。
最後に、オリックスに移籍したときの思い出として「新しい応援歌を作っていただける話があって、あんなに素晴らしい応援歌を使ってくれたのが凄く嬉しかった。でもオリックスファンには感謝より、申し訳ない気持ちの方が強い。オリックスファンの皆さんにはいつか恩返しをするので、もう少し時間をください。引退試合はお祭りなので、楽しみたいですね」と語った。
会見の最後には中島宏之がサプライズ登場し、花束を贈呈されると再び涙。テレビカメラ10台、約60人の報道陣から拍手が送られた。
なお、今後についてはまだ白紙ながらも、「野球に携わる仕事をしたい」そうで「指導者にも興味はある」とのこと。そしてこの会見の後、本拠地最終戦の10月5日・ソフトバンク戦で『小谷野栄一引退セレモニー』を行うことが球団から正式に発表された。“頼れる男”の最後の勇姿を、応援歌とともに見届けたい。
取材・文=どら増田