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引退のオリックス・小谷野栄一「野球人生で一番の日」

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引退セレモニーでナインに胴上げされるオリックス・小谷野=京セラドーム
2018.10.05 18:00
オリックス・バファローズ 4 終了 6 福岡ソフトバンクホークス
京セラD大阪

現役最後の試合


 オリックスは5日、京セラドーム大阪でソフトバンクを相手に、今シーズン最終戦を行った。試合後には、2015年に日本ハムからオリックスにFA移籍した“頼れる男” 小谷野栄一の『引退セレモニー』が行われ、平日にもかかわらず、3万5775人の大観衆が詰めかけた。

 小谷野が“恩師”と慕う存在で、オリックス移籍の要因にもなった福良淳一監督も退任が決まっており、チームとしては勝利で終わりたかったが、2点ビハインドのまま9回へ。そして9回裏、2アウトの場面で福良監督は、伏見寅威のところで「代打、小谷野」をアンパイアに告げ、場内アナウンスとともに京セラドームのボルテージは沸点に達する。

 応援団も小谷野が好んでいたオリックス時代の応援歌だけではなく、日本ハム時代の応援歌を交互にメドレー演奏するサプライズを披露。試合後には「応援団がああいうサプライズをしてくれて嬉しかったです」と振り返っていた。下を向き明らかに泣きながらバッターボックスに入った小谷野に、ソフトバンクの“守護神”森唯斗は、初球からストレート一辺倒。小谷野は初球をファール、2球目を空振りすると、3球目に捉えた打球はショートゴロとなりゲームセット。京セラドームに集まった両チームのファンからは、大きな拍手と歓声が送られた。


スッキリした引退


 オリックスの映像班が「楽しみにしててください」と胸を張っていた日本ハム時代とオリックス時代の映像を惜しみなく使った映像が流れ引退セレモニーが始まると、マウンドの前に立った小谷野は「みなさんのおかげでこんなにスッキリした引退ができるとは思いませんでした」と切り出し、以下のように続けた。

「ファイターズで12年、バファローズで4年、こんな僕が16年間も野球を続けることができるとは本当に思いませんでした。病気になったり、ケガも多かったり、いろいろありましたけど、初安打の対戦相手がバファローズで(場内爆笑)、それも10月5日。今日の引退試合と全く同じ日ということで、バファローズとは深い縁があるんだなとつくづく感じました」

「恩師である福良さんと同じタイミングでユニホームが脱げるなんてこんなに嬉しいことはないと思います。福良さん!本当にありがとうございました。そしてお疲れさまでした」

「もうスッキリしちゃったんで、カッコいいことも感動することも言えないんで、明日6日はソフトバンクのポンちゃん(本多雄一)の引退試合なので最高な試合にしてあげてください(ソフトバンクファンから大歓声)。16年間本当にありがとうございました」

 挨拶では、バファローズとの縁や福良監督への思いなどを明るく語っていた小谷野だったが、花束贈呈で福良監督が視界に映ると、涙を堪えきれず号泣。言葉をかけ小谷野の肩を叩く福良監督の目にも涙。その後、選手代表のT-岡田と家族から花束を渡されると胴上げモードに。レフト側とライト側で2度胴上げされると場内を一周し、最後は家族や福良監督と記念撮影を行い引退セレモニーは幕を閉じた。


「みんなと出会えて良かった」


 試合中には、小谷野の最後の打席を見ようと、今シーズン途中にDeNAに移籍した伊藤光が到着。6日に甲子園での阪神戦を控えているため、前乗りしてのサプライズ登場だった。

 また、駿太、西野真弘、武田健吾、山本由伸らファーム組も続々とドーム入り。その中には、一緒に自主トレを行うなど小谷野が気にかけていた園部聡ら戦力外通告を受けた選手の姿も見られ、私服姿ながら、グラウンドに通じる扉から最後の勇姿を目に焼き付けていた。

 小谷野が引退表明した日に寮の風呂場で「頑張れよ」と声をかけられたという“神童”山本由伸は「感動がエグかった」と振り返り、関係者やファン、そしてマスコミの間からも「こんなに感動した引退セレモニーはあまりない」という声が多く聞かれた。

 涙が止まらないまま“最後の”囲み会見に現れた福良監督は「(満員御礼になったのは)栄一の引退があったからやないですか。栄一のことは…話せないですね」と声を震わせ、苦しいときを見ているからですか?という質問が飛ぶと「はい。よく頑張った!栄一」と再び涙が溢れた。最後の打席は「もう見られなかった」と語り、「もう少しやらせてあげたかった」と最後まで愛弟子を気遣うなど、その姿は二人の絆の深さを物語っていた。

 小谷野自身は「きょうはクッソ楽しかった。スッキリしましたね。野球人生で一番の日は?と聞かれたら、この日になる。(打席で)泣くつもりはなかったんだけど…ファームでも引退試合やってもらったのに、みんな来てくれて裏で励ましてくれた。オリックスのみんなと出会って本当に良かった」と最後の一日をスッキリした表情で振り返った。

 最後に小谷野は「若い子たちが力をつけている感触はある。それを発揮できればすごいチームになる」とチームにエールを送ると、「これから職探ししなくちゃ」と笑いを誘う場面も。本人は「野球に関わっていきたい」と語っており、今後も野球に携わっていきたい意向を示している。

 いつの日か指導者として、小谷野の予言通りすごいチームになったオリックスに戻ってきてもらいたい。


取材・文=どら増田
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