期待の高卒2年右腕から左の長距離砲候補まで
11月8日、日米野球に先駆けてMLBオールスターチームが巨人とのエキシビジョンマッチを行った。その試合で巨人の先発マウンドを任されたのが、高卒2年目の高田萌生。今シーズン、一軍デビューを果たすも2回6失点と「一軍の壁」に跳ね返されたが、ファームでは最多勝(11勝2敗)、最優秀防御率(2.69)、最高勝率(.846)と投手三冠を達成した若手のホープだ。
原辰徳監督からチャンスを与えられた高田は、MLBの強打者相手に失策や不運な形での失点もあったとはいえ、3回7失点(自責5)と結果を残すことはできなかった。それでも、力強いストレートと落差の大きなカーブ、キレのあるスライダーやフォークで5つの三振を奪うなど奮闘。MLBの強打者たちと向き合えた経験を生かせるのか、さらなる成長に期待がかかる。
高田は降板後、「スイングが鋭く、内角を突かないと抑えることができないと感じた。この経験を生かして、来シーズン頑張りたい」とコメント。来季はプロ3年目となるが、一軍での投球回数は2回、新人王の受賞資格(海外のプロリーグ未経験/支配下登録後5年以内/投手は前年までの一軍での登板イニング数が30イニング以内)はまだ残っている。この経験を糧に、来季のローテーション入りを目指したいところだ。
この高田のように、2年目以降ながら新人王を狙えそうな選手は他にもいる。セ・リーグでは村上宗隆(ヤクルト)も候補のひとりか。一軍初打席で初本塁打を記録する鮮烈なデビューを飾った村上。その後こそ快音は響かなかったが、フェニックスリーグでは同リーグの最多記録を更新する、10本塁打を放ち圧倒的な存在感を示した。
村上が守る三塁のポジションは、2015年首位打者の川端慎吾やベテランの大引啓次などでレギュラー争いを繰り広げると予想されるが、それに割って入ることも十分に考えられる。ヤクルト打線において左の長距離砲は不在なだけに、村上にかかる期待は大きい。春季キャンプ、オープン戦で結果を残すことができれば、開幕スタメンも見えてくるだろう。
2005年には、大卒ではあるもののチームメートの青木宣親が2年目に首位打者を獲得して新人王を受賞している。偉大なる先輩に村上も続きたいところ。
パは安田尚憲、高橋礼らが上限ギリギリ
パ・リーグに目を向けると、安田尚憲(ロッテ)に注目が集まる。今シーズンは一軍デビュー、そして初本塁打も記録している。その後は井口資仁監督のはからいもあり、新人王資格の上限いっぱいとなる60打席で打ち止めとなった。オフに入ってからもWBSC U-23ワールドカップでMVPを受賞するなど、成長著しい。
井口監督は「来シーズンは安田を開幕から使いたい」とコメントしている。もちろん、ポジションが確約されているわけではない。三塁は鈴木大地、一塁なら井上晴哉といずれもライバルが立ちはだかる。しかし、チーム内の競争を勝ち抜きレギュラーに定着することができれば、おのずとと新人王も見えてくるはずだ。
投手では、アンダースローとして注目を浴びている高橋礼(ソフトバンク)がおもしろい存在。今シーズンは一軍公式戦で白星を挙げることはできなかったが、新人王資格が残る上限いっぱいの30回を投げ防御率3.00と結果を残すと、ポストシーズンでも登板を果たし、DeNA東克樹の辞退を受けて追加招集された日米野球の日本代表としても存在感を示している。現時点で来シーズンの起用法は明らかになっていないが、先発としてもリリーフとしても計算できる存在であり、新人王の有力候補と言えるかもしれない。
どうしてもルーキーが注目されがちな新人王。来シーズンであれば根尾昂(中日1位)や藤原恭大(ロッテ1位)の大阪桐蔭勢、さらには、即戦力の呼び声高い辰巳涼介(楽天1位)や上茶谷大河(DeNA1位)、松本航(西武1位)らに注目が集まることだろう。だが、2年目以降の選手にもチャンスは大いにある。これまでに培ってきた経験を生かし、プロ野球人生で1度しか受賞できない新人王を獲得することができるだろうか。
▼ 新人王の有資格規定
・海外のプロ野球リーグに参加した経験がないこと
・支配下選手に初めて登録されてから5年以内であること
・投手として前年までの一軍での登板イニング数が30イニング以内であること
・打者として前年までの一軍での打席数が60打席以内であること