大幅減俸提示で自ら自由契約を選択
オリックスから自由契約となった金子千尋投手(35)。2日に自由契約選手として公示され、他球団との交渉が可能となる。
オリックスから野球協約が定める減額制限超えの年俸提示を受け、自ら自由契約を申し入れた金子。今季は17試合(計100イニング)の登板で4勝7敗、防御率3.87の成績に終わったが、昨季は菊池雄星(西武)の187回2/3、則本昂大(楽天)の185回2/3に次ぐ184回1/3回を消化するなど、12勝8敗、防御率3.47をマークした。
チームが優勝争いを繰り広げた2014年には、16勝5敗、防御率1.98の好成績で沢村賞を初受賞。その後の4シーズンは計30勝30敗の成績に終わったが、この間、チームは4年連続のBクラス。敗因は得点力不足によるところが大きく、15年からのチーム総得点は15年がリーグ5位(519得点)、16年以降も同6位(499点)、4位(539点)、4位(538点)と貧打が続いている。
先発投手は勝利数で評価されがちだが、そこは打線との兼ね合いもあり、投手自身はコントロールできない部分。例えば今季のパ・リーグ最多勝である多和田真三郎(西武)は、金子とさほど変わらない防御率3.81ながら、強力打線の援護もあり、16勝5敗で初タイトルを獲得した。西武では阪神からトレード加入した榎田大樹も、自身初の2ケタ勝利をマークするなど、新天地で11勝4敗、防御率3.32と飛躍した。
規定投球回クリア投手は今季12球団でわずか17人
年齢を重ねるにつれ故障も増えてきた金子だが、オリックスで先発ローテに定着した08年以降、11シーズンで8度、規定投球回超えを果たしている。
主力投手なら“規定回クリアは当たり前”と思われがちだが、今シーズン規定超えを果たして投手はセ・リーグ8人、パ・リーグは9人で、日本シリーズ連覇のソフトバンクには、ひとりも143イニング以上投げた投手がいなかった。
どのチームも先発のやり繰りに苦労するなか、ローテ定着後の11年間で、シーズン平均約156回を投げている金子の実績はやはり魅力的。防御率は未だ4点台越えを記録したシーズンはなく、安定感もある。
大型契約を結んでいた直近の4年間は、確かに期待外れだったかもしれない。ただし、先発の駒不足に悩むチームは多く、金子の市場価値は高い。自由契約後も残留交渉を続ける方針のオリックスも含め、楽天、日本ハムも獲得に興味を示していると報じられている。通算2000投球回まで、あと174回1/3。ベテラン右腕は節目の記録を、どの球団のユニフォームで迎えるだろうか。