大型補強の影で…
4年連続のV逸…。セ・リーグの覇権奪回に燃える巨人の動きが活発だ。
原辰徳監督が舵を取る新生・巨人は、手始めにオリックスを自由契約となった中島宏之を獲得。続けて今季メジャーで20本塁打を放っているクリスチャン・ビヤヌエバと契約合意すると、国内FA市場からは炭谷銀仁朗、丸佳浩という実績豊富な2名をゲット。極めつけはメジャーから日本球界復帰を目指していた岩隈久志の獲得を電撃発表と、一気にストーブリーグの主役の座を奪っていった。
来季にかける想いの強さがひしひしと感じられる大補強。一方、今回取り上げたいのが、その影に隠れがちな2人。12月7日に育成契約合意が発表された、ドミニカ共和国出身の2人について。
イスラエル・モタは1996年1月生まれの22歳。右投右打の外野手で、2013年から2017年までワシントン・ナショナルズ傘下のマイナーチームでプレーしていた。メジャー昇格こそなかったものの、マイナーでは通算188試合に出場して打率.257、13本塁打、80打点、21盗塁という成績を残している。
レイミン・ラモスは1996年4月生まれの同じく22歳。右投右打の投手で、こちらは2015年から今年までタンパベイ・レイズ傘下のマイナーチームでプレー。すべてリリーフで65試合に登板し、10勝6敗13セーブ、防御率2.99という成績を残した。
育成契約ということであまり注目は集まっていないものの、今季を振り返ってみると、C.C.メルセデスが7月の支配下登録から残りのシーズンだけで5勝(4敗)をマークする活躍。防御率は2.05と安定した投球で熾烈なクライマックスシリーズ争いを繰り広げていたチームを救った。
ほかにもリリーフのサムエル・アダメスやスイッチヒッターのホルヘ・マルティネスといったところが支配下登録を勝ち取って一軍出場を記録。外国人枠という壁があるなか、巡ってきたチャンスを掴んだ。
今季一軍デビューを果たした彼らはいずれも加入2年目で、ファームでじっくりと日本の野球に慣れてきたという共通項がある。モタやラモスも即戦力とはいかなくとも、日本の野球に慣れたころにチームの救世主となる可能性は大いにあるだろう。
外国人選手も“育成”する時代
近年は即戦力としての“助っ人”も獲得しながら、保険的な意味合いでコストの低めな若い外国人選手を数名獲得し、そこから自前で育てて戦力にしていくというケースが増えてきた。
たとえば、セ・リーグ3連覇中の広島も、先発の柱であるクリス・ジョンソンや、中継ぎのジェイ・ジャクソン、ジョニー・ヘルウェグといったところはいわゆる“助っ人”としての獲得だったが、今季ブレイクした速球派左腕のヘロニモ・フランスアをはじめ、長距離砲のサビエル・バティスタ、アレハンドロ・メヒアはいずれもカープアカデミーの出身。育成契約から結果を残して支配下登録を勝ち取り、自らの力でNPBデビューを勝ち取った選手だった。
上でも少し触れたように“外国人枠”の問題からその運用は難しくなるものの、近年は多めに外国人選手を抱えて調子によって入れ替えて弱点を補填していくという采配も珍しいことではなくなってきた。
巨人としては、今季新たな3名が戦力となり、特にメルセデスが後半のチームにおける救世主的な活躍を見せたことで、より成功への手ごたえを掴んだという部分もあったかもしれない。大型補強の方に目が行きがちだが、モタやラモスをはじめとする“育成外国人”の動向にも注目だ。