覚悟を決めて臨んだ18年シーズン
女子プロ野球界の顔として、リーグが創設された2010年から活躍を続けてきた埼玉アストライアの川端友紀が20日、さいたま市内で現役引退会見を行った。9年間女子プロ野球界の認知拡大に貢献してきた川端は、「入団した当初は女子が野球をすること自体、すごく驚かれることが多かった」としみじみ振り返った。
惜しまれながらユニフォームを脱ぐことになるが、「(引退は)1~2年前から考えていた。(18年)シーズンが始まる前から最後のつもりだった」と、18年は覚悟を決めて臨んだシーズンだったことも明かした。
ヤクルトスワローズに所属する川端慎吾を兄に持ち、球界初の兄妹プロ野球選手としても注目されたが、その話題性だけでなく、2013年には首位打者、最多打点、最高出塁率の野手タイトル3部門を獲得。MVPにあたる角谷賞も受賞するなど、輝かしい実績を残した。
同席した太田幸司スーパーバイザーは「記録にも記憶にも残る選手。若い選手にも見本になる選手」と、通算で380試合に出場し打率.373、2本塁打、192打点という結果を残した川端を称賛。その川端は、9年間の現役生活の中で「特に2本目の本塁打は一生忘れることができないほど最高の打撃ができた」と印象に残るシーンを振り返った。
「ずっと背中を追いかけてきた」兄の存在
「子供のころから男の子に負けたくないという気持ちが強かった」川端は、第一線で活躍する多くのプロアスリートと同じく、“負けず嫌い”。その性格がプロの世界で活躍し続けることができた1つの要因だったに違いない。
そして、「1年目はプレッシャーに感じることもあった」という兄・慎吾の存在も、2年目以降は「逆に注目されることがありがたい」と感じるようになったと、原動力に変えた。その兄に向けては「ずっと兄の背中を追いかけてやってきた。9年間ずっと尊敬してやってきたので、これからもかっこいい兄のまま活躍してほしい」とエールを送った。
今後の進路については、「9年間全力で走ってきたので、少し休憩しながら次の道をどういう風に進んでいくか考える時間にしたい」と未定であることを明かしたが、次なるステージにどのような場所を選ぶのかは気になるところ。
「子どもたちが女子プロ野球選手になりたい。川端選手のようになりたい」と話してくれたことは嬉しかったと笑顔を見せた川端は、全力で走り抜けてきた現役生活を終え、女子プロ野球のさらなる発展を“後進”に託す。
取材・文=別府勉(べっぷ・つとむ)