春3連覇・3季連続優勝への挑戦
3月23日に開幕する『第91回選抜高等学校野球大会』。その出場校を決める選考委員会が1月25日(金)に開催される。
秋の明治神宮大会で優勝した札幌大谷に「神宮大会枠」が与えられ、残るイスは「21世紀枠」の3校と「一般選考」による28校という計31個。“平成最後のセンバツ”となるだけに、例年以上に注目を集めることが予想される。
なかでも大きな注目を集めるチームが、2018年の甲子園で春夏連覇を成し遂げた大阪桐蔭だ。2012年以来となる2度目の春夏連覇を達成し、同一校による複数回の春夏連覇は長い歴史を誇る高校野球史においても史上初の快挙だった。
そんな最強・大阪桐蔭には、またも史上初の大偉業がかかっている。“春のセンバツ3連覇”と“甲子園3季連続優勝”である。
大阪桐蔭は2017年・2018年と春のセンバツを連覇中。甲子園の春連覇というと、第6回・第7回(1929~1930年)の第一神港商(兵庫)と、第53回・第54回(1981~1982年)のPL学園(大阪)、そして大阪桐蔭の3校しか達成していない大記録。もしも3連覇となれば、史上初の快挙だ。
さらに、春夏連覇中の大阪桐蔭が今年の春も制すれば、春夏春の3季連続優勝ということになる。こちらも達成したら史上初の快挙となる。
ちなみに、甲子園で春夏連覇を達成したチームは過去に7チームあるが、さらに翌年の春も制覇したというチームはまだひとつもない。それどころか、7チーム中5チームは翌春のセンバツに出場することすらできなかった。
ということで、春夏春の3季連続制覇への挑戦権を得たのは1999年の横浜と2013年の大阪桐蔭の2チームだけ。横浜は日本中が熱狂した松坂大輔の“怪物フィーバー”の翌年に偉業に挑むも、初戦で前年の夏に死闘を演じたPL学園に敗戦。大阪桐蔭も3回戦で県岐阜商に惜敗を喫している。
そんな大阪桐蔭も“当落線上”
ここまで大阪桐蔭が目指す偉業について語ってきたが、ひとつ衝撃的な事実を書いておかなければならない。そんな大阪桐蔭も、“センバツに出場できるかどうかの瀬戸際にいる一校”だということだ。近年はすっかり甲子園の常連校として定着している大阪桐蔭だけに、今春のセンバツにも当然出てくるものと思い込んでいる人も少なくないのではないだろうか。
春のセンバツは、秋の地区大会の成績によって出場できるかどうかが決まる。夏のような“各都道府県の優勝チーム”といった明快なものではなく、最終的には同地区内の対戦比較や試合の内容なども加味したうえでの“選考”によって決められるため、出場できるかどうかは正式な発表があるまで分からない。
出場枠は地区ごとに割り当てられており、大阪桐蔭の近畿地区は「6」。そのため、例年ベスト4まで残ったチームは春のセンバツ出場が“ほぼ当確”となり、残る2つのイスを巡って熾烈な争いが繰り広げられることになる。
そんななか、大阪桐蔭は準々決勝・ベスト8の段階で敗退。まさに残る2枠を争う当落線上、ボーダーラインにいるチームのひとつとなっているのだ。
【昨秋の近畿大会・準々決勝以降の結果】
▼ 準々決勝
履正社(大阪) 5 - 0 福知山成美(京都)
明石商(兵庫) 4 - 0 報徳学園(兵庫)
智弁和歌山(和歌山) 5 - 2 大阪桐蔭(大阪)
龍谷大平安(京都) 5 - 4 市立和歌山(和歌山)
▼ 準決勝
明石商 12 - 0 智弁和歌山
龍谷大平安 7 - 0 履正社
▼ 決勝
龍谷大平安 2 - 1 明石商
昨秋の近畿大会・準々決勝以降の戦績は上述の通り。優勝した龍谷大平安、準優勝の明石商、そしてベスト4に残った履正社と智弁和歌山の4チームはセンバツ出場が当確。残る2枠を争うのが、大阪桐蔭と福知山成美、報徳学園、市立和歌山ということになる。
やはり対戦比較・試合内容という点で見ると、優勝した龍谷大平安に敗れた市立和歌山と、決勝まで勝ち上がった明石商に敗れた報徳学園というところが有力校として浮上してくる。大阪桐蔭としては、準々決勝で敗れた智弁和歌山が準決勝で明石商に5回コールドで大敗しているというのもマイナス材料となりそうだ。
3年生が引退して代が変わっていく高校野球の部活動において、その強さを変わらずに維持していくというのは難しいこと。特に夏の甲子園で勝ち進めば進むほど、新チームの始動は他のチームよりも遅くなる。春夏連覇を達成したほどのチームでも翌春のセンバツに出場することが難しいというのは、そういった事情もあるのだろう。
果たして、大阪桐蔭はさらなる偉業への挑戦権を得ることができるのか。春のセンバツの出場校は、1月25日(金)に発表される。