阪神・矢野燿大監督(C)KYODO NEWS IMAGES

◆ 望まれる二軍からの突き上げ

 2019年の阪神は矢野燿大監督が初めて一軍で采配を振るう。昨年は二軍の監督を務め、ファーム日本一を達成。ひとつ結果を残しての“昇格”となったわけだが、当然のことながら一軍と二軍では試合の持つ意味合いも異なり、また違ったプレッシャーがある。

 若虎たちが歓喜に沸いた一方、昨季の一軍チームはまさかの最下位。矢野監督はいわば再建を託されたかっこうだ。フロントも逆襲に闘志を燃やしており、オフには西勇輝(前・オリックス)、オネルキ・ガルシア(前・中日)と大物選手の補強に成功。その他にもジェフリー・マルテやピアース・ジョンソンといった新外国人選手もメンバーに加わり、万全の体制で春季キャンプに臨むことになる。

 特に先発2枚の加入は大きく、一気に上位争いを演じることがあっても何ら驚けない。一方で、中長期的に見るとこういった新戦力だけでなく、二軍からの突き上げも必要となってくる。それだけに、昨年ずっと二軍で躍動する若手を見てきた矢野新監督の目にかかる期待も大きい。

◆ 一軍に抜擢された“矢野チルドレン”に注目

 今回は昨年のファーム日本一に貢献した選手で、この春のキャンプの一軍メンバーに抜擢された選手に注目。“矢野チルドレン”の候補を挙げてみる。まずは投手から。

 昨季のファームで最も投球回数が多かったのが福永春吾で92回1/3。以下は79回の谷川昌希、69回1/3の青柳晃洋、66回2/3の岩田稔、63回の藤浪晋太郎とつづく。

 リリーフは試合数で見てみよう。トップは39試合の守屋功輝で、以下は36試合の伊藤和雄、34試合の島本浩也、28試合の尾仲祐哉、28試合の飯田優也となった。

 昨季ファームで多くの経験を積んだ投手たちのなかで一軍メンバーに入っているのは、先発の藤浪と青柳、リリーフでは守屋と伊藤、島本に飯田の6人となっている。先発・中継ぎともに補強を行ったが、二軍からも6人の新戦力候補が一軍切符を掴んだ。

 現時点で投手は22名が一軍に名を連ねており、開幕までに7~8人程度がふるい落とされることになる。激しい競争を勝ち抜いて開幕一軍の座を掴む選手が何人出てくるか注目だ。

 野手では、板山祐太郎(391打席)や江越大賀(367打席)、島田海吏(362打席)、ほかにも熊谷敬宥(266打席)や北條史也(258打席)といった選手に打席が多く配分された。

 この5人からは、熊谷をのぞいた4人が一軍メンバー入り。合計17名の内・外野手メンバーから5人前後がふるいにかけられる。北條は故障から復活できれば正遊撃手の一番手となってくるが、その他の選手たちは当落線上。キャンプからオープン戦にかけて結果が求められる。

 将来的なチームのことを考えると、二軍の主戦力だった選手を一軍に引き上げ、経験を積ませていくことも必要になってくる。しかし、勝利という結果が求められるなかで育成も並行して行うというのは簡単なことではない。

 矢野新監督は一軍でも変わらぬ手腕を発揮して、チームを頂点へと導くことができるか。新生・阪神に注目だ。

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