飛躍に期待の“高卒2年目スラッガー”
2月1日に始まった春季キャンプも、気が付けば中盤戦に突入。ここからは各チームで実戦の機会が増えていき、開幕一軍をかけたサバイバルレースも激化していく。
キャンプで押さえるべきキーワードといえば「しんせんりょく」。今季からチームに加わった“新戦力”はもちろんのこと、今季こそレギュラー奪取を目指すという“新鮮力”にも期待がかかる。
なかでも取り上げたいのが、一昨年のドラフトを盛り上げた3人の“高卒スラッガー”。ここでは、大きな期待を背に2年目のシーズンに挑むロッテ・安田尚憲にスポットを当てる。
初の練習試合で衝撃の2発
履正社高時代には「東の清宮、西の安田」と評されたように、ドラフトで7球団が競合した清宮幸太郎(早実→日本ハム)と並ぶ逸材との評価を受けた左の長距離砲候補。そのドラフトでは1巡目の入札こそなかったものの、1位の再入札では清宮を逃した球団を中心に3球団が獲得を表明。競合抽選の末、ロッテに入団することが決まった。
ロッテと言えば長打力不足に苦しめられてきたチームだけに、いきなり背番号「5」を授けられるなどの大きな期待を背負ってプロのキャリアがスタート。高卒1年目から一軍デビューも果たし、17試合の出場で打率.151(53-8)、1本塁打、7打点という成績でルーキーイヤーを終えている。
ファームでは106試合の出場で打率.271(398-108)、12本塁打、67打点と高卒1年目とは思えない堂々たる数字を残したものの、一軍ではプロの壁にぶち当たるシーンも見られ、8月の初昇格時には思うような結果が出せなかった安田。それでも、9月下旬に再度一軍昇格のチャンスをつかむと、10月2日のソフトバンク戦で東浜巨から待望のプロ初本塁打をマークしてみせた。
首脳陣の親心もあって、新人王の資格が残る「60打席」で打ち止めとなった中で最後にインパクトを残して1年目を締めくくった男は、オフもU-23・W杯からアジア・ウインターリーグまでフル回転で実戦に出続け、初の国際大会では打率.393、1本塁打、8打点の活躍で大会MVPも受賞。ウインターリーグでも19試合の出場で打率.305、1本塁打、13打点という好成績を残している。
休みなくみっちりと実戦経験を積んできたなか、どの舞台でも結果を残し続けてきたという事実は本人にとって大きな手ごたえとなり、今季への自信につながったことは間違いない。
たくさんの収穫を抱え、冬を越えて迎えた2019年春。9日に行われた台湾・Lamigoとの練習試合では、いきなり2本の本塁打をかっ飛ばす活躍で首脳陣に大きくアピール。今春最初の対外試合でしっかりと結果を残して見せた。
安田が本職とする三塁には鈴木大地に加え、今オフ新たにブランドン・レアードが加入。レギュラー奪取への壁は昨年よりも高く分厚いが、「三塁争いの一角には安田もいる」ということを印象付けるのには十分すぎる出だし。3月末の開幕戦、三塁のスタメンに安田がいても何ら不思議ではない。