注目の若手は野手だけじゃない
2015年ドラフト1位・平沢大河、17年ドラフト1位・安田尚憲、昨年のドラフト1位・藤原恭大と近年、ロッテは高校生の有望な野手を次々に獲得している。9日と10日に行われたラミゴ戦では、9日の試合で平沢が本塁打を放てば、安田も負けじと同試合で2ホーマー、藤原は10日の試合でプロ初盗塁を決めるなど躍動している。
平沢、安田、藤原と高卒出身の野手に注目が集まりがちなロッテだが、高卒組の投手陣にも期待感が漂う。
昨年プロ初勝利をマークした高卒5年目の岩下大輝、昨年10月に行われた『第2回 WBSC U-23ワールドカップ』でベストナイン最優秀救援投手に選出された4年目の成田翔、昨季一軍で7試合に登板し今季プロ初勝利を目指す3年目の種市篤暉、フェニックスリーグから12試合連続無失点中の島孝明といった“高卒組”の投手陣が一軍キャンプに参加し、存在感を示した。
「上の世代を脅かしたい」
13日の沖縄遠征からは開幕一軍を目指したサバイバルレースが幕を開ける。当然、“同世代の投手”たちといっても枠を巡って争うライバルになるわけだが、“同世代”に対する意識や思いは様々だ。
島が「まずは自分を高める事に集中しています」と話せば、種市も「意識はそんなにしていない。ただ開幕ローテに入りたいと思って結果を出せればいいと思っているだけなので、オープン戦、練習試合でも結果を残せればいい」と、自分自身との戦いであることを強調する。
その一方で、島や種市の1学年上にあたる成田は「先発や中継ぎで違いますけど、同世代であることには変わりはない。負けないようにやっています」とライバル意識を燃やし、高卒5年目の岩下は「どちらかというと二木さん、僕、種市、(成田)翔などで、上の世代を脅かせられたらいい。切磋琢磨ですね」と、涌井秀章や石川歩、松永昂大、益田直也といったベテラン・中堅組の尻に火を点けるような存在になることが重要だと語る。
数年後、野手では平沢、安田、藤原らが中心選手に成長し、岩下、種市、成田、島といった同じく高卒組の投手陣が活躍して“黄金時代”を築く。そんな未来予想図を描くファンも多いだろう。岩下は「そうなれば一番良いけれど、そうなるためにも自分は今年が大事なシーズンになってくる」と今季の活躍を見据える。
投手陣に関していえば、先発、リリーフともに年齢層が高くなっており、若手の台頭が待たれるところ。昨季終盤に一軍で存在感を示した岩下、種市をはじめとした若手投手たちが今季、一軍に定着するような働きを見せれば、より明るい未来が見えてくる。まずは、きょうから本格的に始まる開幕一軍をかけたサバイバルレースの行方に注目していきたい。
▼ 高卒5年目までの投手の通算成績
【高卒5年目】
岩下大輝
通算:18試 1勝3敗 防4.56
【高卒4年目】
成田 翔
通算:9試 0勝2敗 防4.41
原 嵩
通算:一軍登板なし
【高卒3年目】
島 孝明
通算:一軍登板なし
種市篤暉
通算:7試 0勝4敗 防6.10
【高卒2年目】
森遼大朗 ※育成
通算:一軍登板なし
【高卒1年目】
古谷拓郎
土居豪人
取材・文=岩下雄太