一発で猛烈アピール
春季キャンプも第3クールに突入。多くの球団で紅白戦や練習試合がはじまり、ここからより実戦的な練習が増えいく。実績のあるベテラン選手たちもペースを上げてくる時期だが、同時にレギュラー争いをしている選手、ローテーションへの生き残りをかける選手、一軍登録枠の当落線上にいる選手たちは、なにより「結果」を出すことが求められる。
ここまでの紅白戦や練習試合を見ると、そういった選手たちの活躍が多く見られた。野手では、ロッテ勢が結果を残した。毎年恒例となっているラミゴ(台湾)との交流試合で安田尚憲が2本塁打を放ち、平沢大河にも一発が飛び出している。平沢は14日の中日戦でも4打数2安打1本塁打と活躍し、存在感を示した。
安田は鈴木大地やブランドン・レアードといった実績のある選手と三塁のポジションを争っており、首脳陣に対して大きなアピールとなったことだろう。そして平沢は、昨シーズン全試合に出場した藤岡裕大が右足を痛めた影響で出遅れていることもあり、現時点における遊撃の一番手。もちろん、藤岡が復帰しても簡単にポジションを明け渡すつもりはないだろう。昨年のドラフト1位である藤原恭大に注目を集まるなか、同じドラ1の「先輩たち」もバットで結果を残している。
その他には、渡邉大樹(ヤクルト)も大活躍を見せた。今シーズンから外野に転向し一軍定着を目指している渡邉は、2月11日に行なわれたKIA(韓国)との練習試合で逆転満塁本塁打を放ち、強烈にアピール。小川淳司監督も「足が速く、29人目の選手としておもしろい」とコメントしており、これからもチャンスはあるだろう。
ヤクルト外野陣は青木宣親、雄平、ウラディミール・バレンティン、坂口智隆と球界屈指の選手が揃っているものの、高齢化が進んでいる。高卒4年目を迎える渡邉が、外野の「世代交代」へ向け、まずは一軍定着を目指す。その他にも、2年目の塩見泰隆が14日のKIA戦で先頭打者弾を披露。内野陣では、広岡大志が同じく14日の試合で満塁弾と3ランを放ち7打点と大暴れ。4番・三塁で先発した村上宗隆も4打数2安打と、若燕たちのアピールが続く。
その他にも14日に行われた練習試合では、前述の藤原が中日との練習試合に1番・中堅で出場し、5打数3安打2打点といきなりの大活躍。また、楽天と阪神の練習試合でも、阪神のドラ1・近本光司が適時三塁打を含む2安打と結果を残し、楽天の高卒4年目・オコエ瑠偉が途中出場から左翼席にソロ本塁打を放つなど、外野陣の熾烈なレギュラー争いに名乗りをあげた。
高橋と鍬原のドラ1コンビが好投
投手陣でも結果を残している選手はいる。
なかでも巨人の投手陣たちが好アピールを続けている。2018年ドラフト1位の高橋優貴がシート打撃、紅白戦で結果を残し、二次キャンプでの一軍入りを勝ち取った。また、2017年ドラフト1位の鍬原拓也も紅白戦で好投。1年目は戦力になれず苦しんだが、今年はクローザー候補にも名前が挙がるなど、去年とは一味ちがうところを見せている。
そして、大収穫となったのが育成の坂本工宜だろう。関西学院院大の準硬式野球部出身という異色の経歴の持ち主でもある坂本工は、ここまで堂々の投球を見せ育成選手のなかで唯一、一軍キャンプに帯同中。キャンプ後半からオープン戦にかけて勢いを持続できれば、開幕前の支配下登録も見えてくる。
ヤクルトで先発ローテーション入りを狙う原樹理、高梨裕稔、星知弥の各投手も紅白戦でそれぞれ2回無失点と上々のピッチングを披露。先発投手の台頭こそがチームにとっての最重要課題なだけに、若き右腕たちの好調は楽しみだ。
このように、レギュラー、ローテーション、一軍枠と様々な争いがあるが、彼らがこの時期から結果を残すことは、本人にとってはもちろん、チームにとっても意味を持つこと。競争なくしてチームが強くなることはないし、長いシーズンを戦い抜くなかでは一軍戦力がひとりでも多いにこしたことはない。
まずは彼らが、ここからオープン戦にかけてどんな結果を出していくかに注目したい。